「恋しくて…」

*19*



お腹が満たされたミニョは、食後のコーヒーを飲んでいた。

「今日は、忙しかったのか?」

「そうですね、ファッション誌は特に。でも、楽しいですよ、撮影は大変ですけど、充実感はありますから。」

疲れているはずなのに、ミニョは満足げな笑みをみせる。テギョンは、その表情に少し驚いていた。最初に出会った頃は、ミニョは世間知らずのシスターだった。こちらが苛々してしまうくらいに、いつも失敗やドジを繰り返し、オドオドと挙動不審だった。
韓国を離れて2年以上の月日が流れ、テギョンと離れている間に、ミニョは随分と逞しくなったようだ。

「はぁ、お腹いっぱい。ごちそうさまでした。
これから、どうしますか?」

「話があると言っただろ?場所を変える」

 テギョンは立ち上がり、ミニョの手を握れば、驚いたように目を丸くし、すぐに頬を紅く染める。

逞しくなったと感じても、相変わらず、こういうことには慣れないんだな・・・

ミニョの初々しい態度にテギョンは自然と笑ってしまう口元を拳で隠しながら、ふたりは店を出た。



テギョンの足はミニョのアパートに向かっていた。螺旋階段を上り、ミニョの部屋の前に立つと、鍵を開けるよう首を動かす。
ミニョが鍵を開け、部屋の灯りを点けると、テギョンを中に入れた。
部屋の中は冷えきっていて、ミニョは、ストーブに火を点け、水を入れたケトルをストーブの上に置く。
ミニョはベッドルームからブランケットを持ち出し、ソファに座るテギョンに差し出すと、テギョンはミニョの差し出した腕ごと引っ張った。

「あの、部屋が暖かくなるまで、使って・・キャッ!?」

驚きの声とともに、ミニョはテギョンの腕の中に引き込まれる。

「この方が暖かいだろ?」

ミニョが顔を上げると、ニヤリと口角を上げたテギョンの顔があった。

「あ、あ、あ、あの・・・・・」

「おい、暴れるな」

あたふたするミニョの背中を抱き込み、テギョンはふたりの身体ごとブランケットで包んだ。
密着する身体は、じんわりと暖かい。
そして、ふんわりと鼻孔を擽るミニョの香り。
やっと大人しくなったミニョは、固まったように動かなくなり、耳まで真っ赤にしている。

「・・・・一緒に帰ろう」

テギョンはミニョの身体を更に強く抱き締める。

「ミニョ、俺と一緒に帰るんだ、韓国に・・・」






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|ョω・`)ハイ、ひょっこりはん!
はい、すみません。
秋になるとなぜか創作意欲が出てくるヒトです。約1年ぶりですね。ご無沙汰してます。
読んでくださってる方って、まだいるのかしら?
ハナシの描き方をすっかり忘れてしまいましたが、描いてみました。
そろそろ完結させたいけど、出来るかな…。