「恋しくて…」

*14*




ミュージカル観賞と食事を終え、アパートに帰ってきたミニョは、ソファーに座り込んだ。

何気なしに、テーブルに置いてあるカップが目に入り、ミニョは、また頬が熱くなるのを感じ、冷えた手で頬を覆った。

ミュージカルの内容なんて、全然、頭に入ってこなかった。
そのあとの食事の会話も上の空だった。

テギョンがアパートまで迎えに来てくれ、部屋の中に招き入れた。
お茶を出したその手をテギョンに握られ、ソファーに座らせられた。
そして、触れるだけの優しいキスと、頬を撫でる大きな手、テギョンに触れられた場所が熱くなり、心臓が飛び出したように、胸の高鳴りが煩く感じた。

「お前を…他の誰にも触れさせたくない」

そして、意を決したように、真っ直ぐミニョを見つめながら、テギョンは低い声で言葉にした。

「コ・ミニョ、俺のとこに、もう一度戻ってこい・・・愛してる」

そして、テギョンは、ミニョの小さな身体を抱き締めた。

「今度は、お前から手を離しても、俺は、お前の手を二度と離さない」

沖縄で、泣きながら、テギョンに握られた手を離したときのことが鮮明に甦り、ミニョの身体が小刻みに震えていた。

もう、テギョンのそばにいられないと思い、手を離した。

自分から離れたのだから、もう二度と会えないと、思っても、もう一度、会いたいと、願ってしまった。

ただ、ただ、恋しくて・・・

そして、思わぬ場所で、再会を果たす。

ただ、ただ、もう一度、会いたかったヒト

想いは色褪せることなく、強くなるばかりだった。

ずっと恋しかったヒトが、自分の目の前にいて、温かなぬくもりで、自分を抱き締めていた。

傷つけてしまったはずなのに・・・

自分から離れたのに・・・

それでも、もう一度、一緒にいたいと、言葉にしてくれた。

身体が震え、申し訳なさと嬉しさで、涙が溢れて止まらなかった。

「・・・ごめんなさい、テギョンさん、ごめんなさい・・・会いたかった・・・ずっと、ずっと、会いたかった・・・」

テギョンは、ごめんなさい、と 会いたかった、を繰り返すミニョの頭を撫でながら、どこかホッとしたような柔らかな表情で、ミニョを抱き締めていた。

いつまで、抱き合っていたのだろうか、ミニョが淹れたお茶はすっかり冷めてしまったようだ。
そろそろ、待ち合わせの時間に間に合わなくなる。

テギョンは、ミニョの身体をそっと離す。

「そろそろ、待ち合わせ時間に遅れるぞ」

ミニョの涙で濡れた顔をテギョンはフッと微笑みながら、甲斐甲斐しく、指で拭っている。

「別に、俺は、お前と一緒にいれるなら、あいつらとの約束キャンセルしても構わないが、ただ、行かなかったら、あいつらがどう思うか、だけどな。どうする?」

「だ、だ、大丈夫です。い、い、行きます。すぐ仕度します。」

ミニョはソファーから立ち上がると、ギクシャクした動きで、ベッドルームに入っていった。






★★★★

え…っと、
(゜-゜)(。_。)(゜-゜)(。_。)

お、お久しぶりです、皆さま。
前回から1ヶ月空いてしまいましたね。
す、す、すみません…(´Д`)
とりあえず、元気にしてます。
しかも、新年、明けてますね。
今年も、マイペースでやってきますので、どうぞ、よろしくお付き合いくださいませ。お願いします。