「キミはボクのモノ」*3*



新メンバー「コ・ミナム」の秘密を最初に知るのは、シヌだった。
合宿所では、ミナムの歓迎パーティーが開かれ、ジェルミに勧められるまま、ミナムはシャンパンを何杯も飲み、挙げ句の果てに酔いつぶれ、フローリングの硬い床に寝ていた。

「おい、コ・ミナム、起きろ。風邪ひくぞ・・・」

シヌは揺り動かして起こそうとするが、ミナムは全く起きない。このまま放置するのも可哀想に感じながらも呆れたように溜め息を吐き、ミナムをソファーに運ぼうと、ミナムの肩を抱いて起こしてやる。
男にしては随分と軽い身体に、シヌは驚きで何度か瞬きを繰り返しながら、じっと、ミナムの顔を見つめた。
閉じられた長い睫毛、真っ赤に染まったふっくらとした頬、真っ赤な唇、白く細い首、明らかに、何かが違う。
ミナムがバランスを崩し、グラリと身体が揺れ、咄嗟に、シヌがミナムの身体を抱き締めた。

「コ・ミナム、お前・・・」

がっしりと硬い男の身体とは程遠い、柔らかでふわふわな感触に、シヌは戸惑い動けずにいた。

シヌが知ってしまった「コ・ミナム」の秘密 ・・・それは、「女」であるということ。
「コ・ミナム」という男は存在する。彼女は、「コ・ミナム」の双子の妹「コ・ミニョ」である。
ミナムはある事情により、現在、国外へと出国している。事情を知るマ室長に頼まれて、ミニョは、ミナムのフリをしている。

シヌに秘密がバレたことは露知らず、偽ミナムは呑気に寝ていた。

翌朝、激しい頭痛とともに起きたミナム。
何故か、自分の部屋ではなく、リビングのソファーの上にいて、掛けられた毛布に、ミナムは首を傾げていた。

「おはよう、ミナム」

キッチンにいたシヌが爽やかな笑顔を向けた。

「お、おはようございます。あ、あの…」

「昨日は、大変だったんだぞ、酔い潰れたお前を介抱してやったんだから…」

「あ、ありがとうございます、シヌ ssi。」

まさか、その介抱で、シヌに秘密がバレてしまっていることも知らず、ミナムは素直に頭を下げた。

『俺にバレてるのに気付かないなんて、なんだ、このコは?世間知らずだけど、素直だし、悪いコじゃないみたいだな…。』

シヌは、無防備なミナムに好感を抱いた。

「シヌ "ssi"なんて、他人行儀な呼び方しなくていいよ。」

「あぁ、すみません…」

「ヒョンでいいよ。それとも、"オッパ"って呼ぶか?」

ミナムは激しく首を横に振るが、二日酔いの頭には危険行為だった。

「痛い…気持ち悪い…(泣)」

「バカだなぁ~(笑)二日酔いの頭を振るなんて…こっちにおいで、二日酔いに効くお茶出してあげるから。」

素直に従うミナムに、シヌは笑いを堪えながら、お茶の準備をした。

一方、テギョンは、ミナムの加入を未だに認めていなかった。
テギョンは、ミナムの歓迎パーティーにも参加せず、自室に籠っていた。
新体制になり、新曲を出すことが決めたことを、アン社長から聞き、テギョンは、曲作りをはじめていた。今、テギョンの部屋には、ミナムのデモテープが流れている。

『確かに、歌の才能はある。自分が出せない高音を意図も簡単に歌いこなす。
が、なんで、今更、新メンバーを加入させるんだ?あのオヤジ…俺が歌えないとでも思ってるのか?』

新メンバー加入が決まったとき、アン社長から話があった。

『今回の新メンバー加入は、マンネリ化を避けるためだ。新メンバー加入により、ファンが増える。音楽の幅だって広がるだろ?"新生A.N.JELL"の誕生により、テレビ、雑誌に、引っ張りだこになる。更に、忙しくなるから、覚悟しとけよ。』

新メンバーで加入してきた「コ・ミナム」には、全く覇気を感じなく、オドオドしていた。大きな瞳はキョロキョロと落ち着かなく動き、男にしては小さな身体は、更に、小さく感じた。

『歌はまだしも、あの態度が気に入らないんだ。』

口を尖らしたテギョンは、ミナムに不満爆発だった。

ミナムの秘密をテギョンが知るのは、それは、次回のハナシ。



★★★★

ネコのハナシなのに、ネコは、何処に消えたのでしょうか?(´∀`;)
すみませんが、そのままお付き合いください。(´Д`;)
あと、たまに問い合わせがある『アメンバー』ですが、一応、『現在、ブログ停止』の状態になりますので、受付はしてませんので、悪しからずです。本当にごめんなさい。アメ記事なくても読めますので…お願いします。