「キミはボクのモノ」*2*



数日も経てば、すっかり、エンジェルハウスの住人?になったミニョ(仔猫)の1日は、テギョンのベッドから始まる。
テギョンのベッドに丸まって寝ているが、朝には抜け出し、キッチンにいるシヌの足元に擦り寄っている。

「ミニョ、おはよう。ミルクの時間だろ?」

ミャァ~

まるで、返事をしているような鳴き声に、シヌは頬笑みながら、ミルクをお皿に出してもらい、ミルクを舐めはじめる。ミルクが飲み終わると、シヌの膝の上で、シヌに撫でてもらいながら微睡んでいる。
そして、なぜか、命の恩人でもあるジェルミには懐いていない。
「ミニョぉぉ~~」
ジェルミは、ミニョを見つけると直ぐ様抱っこして、スリスリと頬擦りをする。
スリスリの度合いが少々しつこ過ぎるのか、最後には、
フミャ~‼
と嫌がりはじめ、隙をついて逃げ出してしまう。
ミニョの逃げ場所は、決まって、テギョンの部屋である。
ドアの隙間からテギョンの部屋に侵入する。

ミャ~

机に向かって作詞の作業でもしているのか、ミニョが入ってきたことにも気付かないくらいにテギョンは集中している。
テギョンは、時折、ブツブツ何かを呟いたり、ハミングをしている。
テギョンの心地よい声とテギョンの匂いがするベッドで、またミニョは、丸まって眠っている。

幸いにも、猫アレルギーが出なかったテギョン。
夜は、いつもミニョと一緒だった。
ミニョが、テギョンのベッドを気に入ってしまったのである。

「ベッドが毛だらけになるじゃないか!?」

最初は嫌がり、口を尖らし怒っていたテギョン。
今、思えば、ミニョはテギョンの心の暗闇に気付いていたのかもしれない。
不眠症のテギョンに寄り添い、眠りに就く仔猫のミニョ。仔猫のミニョが、テギョンの眠りの癒やしになりつつあった頃、思ってもいないことが起きた。

その仔猫のミニョが、ある日突然、姿を消してしまったのだ。
開いていた窓や出入口の隙間から出ていってしまったのか、ミニョは、数日経っても帰って来なかった。
ジェルミは、毎朝、ジョリーと散歩しながら、ミニョの行方を探したが、見つかることなく、また、テギョンの不眠症が酷くなりはじめたある日、A.N.JELLに新しいメンバーが入ることが決まった。

名前は、「コ・ミナム」

柔らかそうなフワフワな栗色の髪に、真ん丸の大きな瞳、真っ白な肌、まるで、中性的な容貌の青年だが、この「コ・ミナム」、誰にも言えない秘密があった。






★★★★