「キミはボクのモノ」*1*
朝から、今にも泣き出しそうな天気の中、ジョリーに散歩をせがまれ、ジェルミは公園に向かった。
そして・・・
「ただいまぁ。誰か、タオルちょうだい!!」
ビショ濡れになって帰ってきたジェルミが合宿所の玄関から大声を出してる。
シヌはすでに仕事に行ってしまい、キッチンで水を飲んでいたテギョンが、バスタオルを持って玄関に向かう。
「ありがとう、テギョンヒョン」
ジェルミのパーカーの中からミャ~ミャ~と鳴き声がする。
「ごめん、今、出してあげるから」
ジェルミがパーカーのファスナーを下ろすと、真っ白な仔猫が顔を出した。
「ジョリーと公園を散歩してたら、ミャ~ミャ~鳴き声が聞こえて、そしたら、コイツがいて、親とはぐれたのか、ひとりだったんだよ。しかも、脚をケガしてるみたいだから、病院連れって行ってやったら、雨降ってきちゃって…。ちょっと、テギョンヒョン、コイツ持ってて。猫アレルギーないもんね?大丈夫でしょ?」
ミャ~ミャ~鳴きながら、仔猫がテギョンの腕の中に収まる。
ふわふわの肌触りの真っ白な仔猫。
ケガをした脚には包帯がしてあった。

「かわいいでしょ、コイツ、ねぇ、ヒョン、飼ってもいい?」
「ダメだ!家の中が毛だらけになるじゃないか!猫アレルギーがなくても、これから、アレルギーになることだってあるんだぞ!俺が歌えなくなってもいいのか?」
アジアで人気を誇るアイドルバンド『A.N.JELL』のボーカルを務めるテギョン。完璧を求める人間だが、その反面、アレルギー体質のせいもあり、人一倍、喉には気を遣っている。
「う゛っ…で、でも、コイツ、ケガしてるんだよ?せめて、ケガが治るまでいいでしょ?」
末っ子が持つ甘えん坊パワー全開で上目遣いで見ているジェルミの目と、もうひとつ、ジーッと真ん丸の青い目がテギョンを見つめていた。
“か、かわいい・・・”
ジェルミより、仔猫の可愛らしさにやられてしまったテギョン。
「ケ、ケガが治るまでだからな!」
「やったぁぁ~!!良かったなぁ、ミニョぉ~!」
「ミニョ?」
手を上げて喜んでいるジェルミと、テギョンの手に、ミャ~と鳴きながら、スリスリと顔を擦り付ける仔猫のミニョ。
「そう、コイツの名前決めたの。かわいいでしょ?
テギョンヒョン、俺、シャワー浴びて、着替えてくるから、ミニョにミルクあげてね。」
ジェルミはシャワーを浴びにシャワールームに行ってしまう。
ミャ~
まるで、せがむように鳴くミニョを連れてキッチンに向かうテギョン。
お皿にミルクを入れると、ペロペロと美味しそうに舐めはじめる。
こうして、仔猫のミニョとの生活がはじまったのである。
★★★★
「マイフェアレディ」終わってないのですが、1話更新です。
設定はドラマと然程変わらず。もちろん、ミナムが加入する前のハナシになります。