イケメン版
「マイフェアレディ」  *2*



テギョンの家に住み込みで、ミニョは訓練を受けることになった。
テギョン以外にも、テギョンの親友であるカン・シヌと服飾関係の仕事をしているワンも呼ばれた。

シヌとワンを呼んで、ディナーを食べることになった。
生まれてはじめて見るような、美味しそうな料理の数々にミニョの目は輝き、テーブルマナーも気にせず、がっつくように食べている。

「フォークで肉を刺すな!
スープは、音を立てて飲まない!
ワインも一気に飲まない!
パンも全部口に入れない!
・・・コ・ミニョ、下品極まりないぞ」

「・・・すみません」

ミニョは、フォークとナイフを使おうとするが、上手く使えず、カチャカチャ金属音を鳴らし、最後は、床に落としてしまう。
口をすぼめながらシュンとしてしまうミニョ。

「面白いコだね、テギョン。」

シヌはミニョを見つめながら、にこやかにワインを飲んでいる。

「ミニョ、よく見ててね。フォークは左、ナイフは右。フォークで肉を押さえながら、ナイフで切るんだよ」

シヌは、まるで子どもに教えるように、ゆっくりな動作でやってみせる。

「テギョン、ミニョは、何も知らない子どもと同じなんだから。丁寧に教えてやらないと。俺が、基本的な所作を教える。テーブルマナーや、お茶の所作とかね。よろしくね、ミニョ」

シヌが立ちあがり、ミニョに手を差し出す。

「よろしくお願いします。」

ミニョは頭を下げながら、シヌの手を握った。

「私は、このコの外見を磨いていくわ。ちゃんと化粧して、いい格好させれば、それなりに見えるはずよ。元は、イイみたいだし。」

ワンは飲みかけのワイングラスを片手に持ったまま、ミニョの顎を指でしゃくった。

テギョンは、上流社会で必要な知識をミニョに教育していく。

数日後

ミニョの身なりもだいぶ整いはじめ、マナーも人前で恥ずかしくないくらいのレベルになりつつあった。

「今度の日曜日、パーティーに行ってもらう。お前の社交界デビューだ。
くれぐれも俺の顔に泥を塗るようなことをするなよ。」

「はい、頑張ります。」


そして、日曜日。
着飾ったミニョが、テギョンとともにお茶会に向かった。

「あら、テギョン。いらっしゃい」

出迎えたのは、気品漂う美しい女性だった。

「お久しぶりです、母さん」

その女性こそ、テギョンの母、ファランだった。

「テギョン、貴方の隣にいるのは?」

「コ…コ・ミニョです。よろしくお願い致します、マダム。」

「テギョンのお知り合いの方ね。
どうぞ、楽しんでいってちょうだいね
。」

美しい笑みを浮かべたファランに家の中へと通された。
天井の高さに驚き、キラキラと輝く美しいシャンデリアに目を奪われる。周りも、上流階級の高級な服に着飾った人々に溢れ、ミニョの緊張は最高潮までに達していた。ミニョは息苦しさを感じながら、ウェルカムドリンクを受け取ると、一気に飲み干した。
カァーっと身体の熱が上がり、頭がクラクラするのを感じて、近くにあった椅子に腰かけた。

「キミ、大丈夫?」

「あぁ…はい…大丈夫です。慣れない場所に緊張してしまって…」

「僕と一緒だ。僕、キム・ドンジュン。キミは?」

「コ・ミニョです…」

ふたりは自己紹介をし、握手をする。

「素敵な名前だ。」

ドンジュンがミニョの手を握ったまま離さず、手の甲に口づけようとしたとき…

「コ・ミニョ、そこで何をしてる?」

「すみません、テギョンさん。すぐに行きます。」

ミニョがドンジュンの手をスッと離して行ってしまう。

ドンジュンは、ミニョがその場を去っても、うっとりとミニョを見つめたままだった。

「お前、顔が赤いが大丈夫か?」

「だ、大丈夫です。」

「ウェルカムドリンクは飲むなよ、あれは、酒だ。」

「わ、わかりました・・・」

゛あれ、お酒だったんだ。どおりで・・・゛
ミニョは、内心ヒヤヒヤしたが、頭がクラクラするのも治ってきたから大丈夫だと思っていた。
テギョンは、ミニョを連れながら挨拶をしていく。

「コ・ミニョ、俺の上司、アン教授だ。アン教授は、外国語専門で教えている。外国での生活も長いんだ。」

「はじめまして、アン教授」

「オォ~、ビューティフルレディ」

アン教授はすでにアルコールが回っているのか、握手の代わりに、ミニョの身体を引き寄せ抱き締めた。
アン教授の手が、ミニョの腰の辺りに触れたとき、ミニョは大声をあげた。

「キャー!?」

誰もが、ミニョの方を向く。

「この人が、私のお尻を触ったんです!
!」

「私は、触ってない!!」

「触ったでしょ?スケベじじぃ!!」

ザワザワと周りが騒ぎ出す。

゛もう、ダメだ・・・゛

テギョンは、途方に暮れたように、大きな溜め息を吐くと頭を抱えた。

「何事なの?テギョン!」

「すみません、母さん。
帰るぞ、コ・ミニョ・・・」

テギョンは、怒りを抑えるように低い声で言う。

ミニョも、自分が仕出かしてしまったことがわかった。

「・・・は、はい」

ミニョも、泣きそうになるのを堪えながら、俯かせたまま小さな声で返事をする。

ふたりは、一度も口を聞かないまま、家路へと向かうのであった。



★★★★

ブログをはじめてから、ずっとメールでブログを投稿していたのですが、今度のスマホはダメなようで…文字化けしてしまいました・゜・(つД`)・゜・なので、再度やり直し。ショック…(´Д`)