「Secret moon」30
「結晶」
テギョンは、蝋燭の灯りだけが灯されたリビングのソファーに腰掛け、眉間に皺を寄せ、思い詰めたような顔で、手を組みじっと待っていた。
「テギョンさん、ワイン飲みますか?」
ジェヒョンは、持っていたグラスをテギョンに渡し、赤ワインを注いだ。
ジェヒョンも、自分のグラスに赤ワインを注ぐと、傍らにある椅子に腰掛けると、一口ワインを含んだ。
「彼女は、あのときの赤ん坊ですか?」
「・・・あぁ」
「・・・そうですか。やっぱり、彼女が、貴方にとって“運命の相手”だったんですね。
良かったですね。また、出逢うことが出来て・・・」
ジェヒョンは、柔らかな笑みを浮かべた。
「だが、俺は、また、ミニョを苦しめてしまった・・・。
堕胎することだって出来たのに・・・でも、アイツは、どんなカタチであれ、神様から授かった大事な生命だから、産みたいと・・・それに、俺のコを産めて幸せだって、微笑んで、愛しいそうに、大きくなった腹を撫でていた。」
テギョンは、深く溜め息を吐くと、グラスを煽るように、ワインを飲み干した。
「・・・それが、彼女の答えでしょう。
確かに、苦しいかもしれません。
でも、彼女は、苦しいと思うよりも、十分、幸せだと思いますよ・・・きっと。
それに、相手を深く愛して、相手に深く愛されているからこそ、『結晶』は生まれるのですから・・・
さて、そろそろ香油の効果が切れる頃でしょう。
彼女の様子を見て来てくださいますか?」
テギョンは、ソファーから立ち上がると、バスルームに向かった。
バスルームの扉を開けると、バスルームの中に充満していた甘い花の香りが、一気に外へと放たれていく。
バスタブに横たわるミニョの肌が幾分か赤みを増しており、テギョンは、安堵の表情を浮かべ、胸を撫で下ろした。
テギョンは、紅潮したミニョの頬を撫でていると、うっすらと、ミニョの瞼が開いた。
『テギョン・・・さん』
声にならない声だったが、微かに、ミニョの唇だけが動き、テギョンの名前を呼ぶ。
「ミニョ・・・」
テギョンは、服が濡れることも構わず、ミニョの身体を抱き寄せた。
★★★★
またまた、ご無沙汰してしまい、本当に申し訳ないです。
そして、いつも以上に、駄文で本当にすみません。
かなりのスローペースですが、なんとか、最終話まで描けるように、ガンバります。