美男2
~Another Story~

「どうか、末永くお幸せに…」
*79*




空港から、事務所のバンに乗り込み、向かった場所は、ふたりが暮らしていた合宿所でもなく、ミニョにとって見慣れない場所だった。
バンから降り、口をポカーンと開け、見上げるミニョの目に映るのは、高く聳(そび)え建つ高層マンションだった。
テギョンは、ミニョの手を取ると、警備員が立つ厳重なマンションのエントランスに入ると、エレベーターで上へと上がっていく。
ちょうど、高層マンションの真ん中辺りで、エレベーターは止まる。
廊下を歩き、ドアの前に立つと、テギョンは、ジャケットのポケットから、鍵を取り出し、ドアを開けた。
テギョンは、ミニョに、首をしゃくるように、中に入るように促した。

「・・・テギョンさん、ココは?」

キョロキョロと辺りを見回すミニョの背中に抱きつくテギョン。

「これから、お前と一緒に、此処で暮らす・・・業者に頼んで、必要なモノは、取り揃えてもらってある。気に入らないければ、別のモノを用意しても構わないが・・・
・・・気に入らないか?」

ミニョは、首を横に振ると、身体の向きを替えた。

「いえ、私には、勿体ないくらい、素敵な場所です。
テギョンさん、ありがとうございます。」

ニコッと嬉しそうに笑うミニョに、テギョンも、満足そうな笑みを見せると、ミニョの身体を抱き締めた。

「明日、記者会見の前に、婚姻届を出す。一緒に、あのヒトのところへ行ってくれるか・・・?」

「・・・はい」


翌朝

『ファン・テギョン&コ・ミニョ 婚前旅行から帰国。結婚秒読みか!?』

新聞の芸能の一面には、昨日、空港で撮られた写真が大きく飾っていた。

特別に、病院の許可を貰い、ファランがいる病室に入る。
ふたりの姿に微笑むファラン。
顔を見るたびに、ファランの身体が痩せ細っていってるのが、わかる。
身体の節々が痛いのか、座っていることも苦痛らしく、時折、顔を歪めている。それでも、白く細い指が、しっかりとペンを握り、ふたりの婚姻届に、サインをする姿は、幸せそうだった。
テギョンは、記者会見のため、先に、婚姻届を持ち、病室を出ていく。

ファランは、ミニョとふたりになりたいと、付き添っていたハン秘書を、病室の外に出した。

「ミニョさん・・・テギョンのことを・・・よろしくお願いね・・・。
テギョンの相手が、あなたで、本当に、良かった・・・。
あなたとなら・・・あのコは、きっと、大丈夫。幸せに生きていける。
あのコの幸せそうな笑顔も、初めて見れたし・・・
もう・・・
何も・・
思い残すこともないわ。」

ミニョの手を両手で握り、笑顔を見せるファランが、ミニョには、とても儚く見え、不安になった。

「・・・ファランさん?」

「また、会いに来てくれるのを、待ってるわ・・・」

「・・・はい。また、必ず、テギョンさんと一緒に・・・。」


テギョンは、合宿所に寄り、ミナムに、婚姻届のサインを貰っていた。

「ミナム、お前に、託していいか?」

「はい?」

「俺は、今から事務所に行かないと、記者会見の時間に間に合わない。記者会見では、本日付で、婚姻届を出したことを報告するつもりだ。
だから、お前に頼んでるだが・・。」

「はぁ!?まさか、オレって、責任重大のこと任されてる!?ねぇ?これを、道端のゴミ箱に、グシャグシャにして、捨てることも可能ってことだよなぁ?」

「お前・・・俺に、殺されたいのか?」

口を尖らし、ミナムをギロリと睨むテギョン。しかも、殺気立っていて、今にでも、ナイフを持ち出しそうなテギョン。

「アハハ、冗談、冗談だって・・・例えばって・・言うハナシさ。本気にするなよ・・・わかったって。ちゃんと、やってやるから・・・
早く、行け、義弟よ。」

「義弟!?」

「だろ?オレ、ミニョの兄貴だから。これから、お前のお義兄さま。よろしくな、テギョン。」

「呼び捨てするな!!」

「ハイハイ、ごめんなさい。ヒョン、また、スピードでも出して事故られるの困るから、早く、行ってくれない?」

「頼んだぞ」

「あいよ」

テギョンが、事務所で、記者会見をしている頃、ミナムはバイクに乗り込み、役所に現れ、無事、婚姻届を提出した。





★★★★


次回、最終話になります。
はぁ…、やっと、ココまで来たぁぁ。
(´▽`;)ゞ
とりあえず、試験終わりました。
アメンバー募集はじめました。
とりあえず、15日までの予定です。
よろしくお願いします。