美男2
~Another Story~

「あなたしか見えない」
*76*





テギョンが、ホテルのディナーの予約を入れていたため、服を買うため、午後は、近くのショッピングモールに出掛けた。
テギョンは、サングラスをかけているもの、ふたりを気にする者は、誰もおらず、気兼ねなく、ショッピングを楽しむ。

テギョンが、首を傾げながら、ミニョの身体に、次々と、選んだ服を宛がい、アクセサリーにバッグに靴、全てを揃えていく。

「あの・・・テギョンさん、私、こんなにたくさん買えませんよ。」

困ったように口をすぼめるミニョに、テギョンは、ニヤリと笑う。

「誰が、買えって言った?」

そう言いながら、テギョンが、カウンターでカードを差し出す。

「すみません・・・テギョンさん、ありがとうございます。」

夕陽がゆっくりと海に沈んでいくなか、ふたりは、フォーマルな服装に着替える。

自分が見立てたミニョの姿に、満足そうに笑みを見せると、ミニョの手を、自分の腕に絡ませると、レストランに向かった。

ミニョは、注がれたシャンパンを見つめ、「いいんですか?」と、テギョンに聞く。

「一杯だけだぞ」

「いただきます」

甘く、まろやかな味に、ゴクゴクと飲んでしまうミニョに、上品さは、ない。
テギョンは、そんなミニョに、小さな溜め息を吐く。

「はぁ・・・バカか、お前は・・・そんな飲み方するから、すぐに酔いが回るんだぞ!」

「すみません・・・」

テギョンに怒られ、口をすぼめるミニョの頬は、すでに、酔いでほんのりと頬を紅く染めている。

食事が運ばれてくると、ミニョは、すぐに、笑みを見せる。

おいしそうに、ステーキ肉を口に運ぶミニョ。

どんなに綺麗に着飾っても、ミニョは、ミニョだ。上品さの欠片はないが、幸せそうに笑っているのを見ていると、悪くない気がする。

「ほら、口にソースがついてるぞ」

テギョンが、指先で、ミニョの口元のソースを拭うと、そのまま、指をペロリと舐めてみせた。

「えっ・・・あっ・・」

ミニョは、ビックリして、キョロキョロと辺りを見回し、顔を紅くしている。
そんなミニョを、テギョンは、クスクス笑いながら、見つめていた。

ディナーが終わり、コテージに着いても、ミニョは、頬を紅く染めていた。

それは、酔いからなのか、これからのことが気になっているのか・・・

ミニョは、緊張しているのか、なかなか、部屋に入ろうとしない。

「少し、風に当たるか?」

テギョンは、ベッドサイドの灯りを点けると、ジャケットを脱ぎ、シャツのボタンを外すと、ミニョをベランダへと連れて行く。

「わぁ~キレイ!!星がいっぱいです!」

ミニョが、感嘆の声をあげる。
空を見上げると、無数の星が輝く星空が広がっていた。

テギョンには、ぼんやりとしか見えない星空。唯一、ハッキリと見えるのは、星空を見上げるミニョの背中と、海に浮かぶ月だけだった。

テギョンは、そっと、ミニョを後ろから抱き締めた。

「・・・俺には、たくさんの星よりも、月(お前)しか見えない・・・」

「私も・・・いっぱい星があっても、ひとつの星しか、見えません・・・」

ミニョは、ゆっくりと振り返る。

「その星を、ずっと好きでいても・・・いいですか?」

あのときと同じように、ミニョの目には、涙が浮かんでいる。

「あぁ、ずっと、好きでいろ。

ミニョ・・・愛してる」

あのときは貰えなかった星の答えに、ミニョは、喜びの涙を流す。

「私も・・・愛してます・・・」

星降る夜空の下、ふたりは、唇を重ねた。




★★★★

ハイ、ということで、次回はアメ記事です。
このあとに、更新する予定です。

アメンバーの申請のメッセージをいただいたのですが、私事で、大変申し訳ないのですが、実は、10月初めに試験を控えているので、9月中は、アメンバーの受付をすることが出来ません。
アメンバーの再開のお知らせは、10月以降になりますので、ご了承くださいませ。