美男2
~Another Story~
「おかえり」
*70*
『善は急げ』とばかりに、テギョンは、その日のうちに、ミニョと共に、修道院に行き、きちんと、院長先生にも挨拶を済ませ、ミニョの荷物を持って、合宿所に連れ帰った。
“もう、二度と訪れることはないと思いながら、去っていった場所・・・
その場所に、もう一度、戻ってくることが出来るなんて、思いもしなかった・・・・”
ミニョは、感慨深そうに、涙目になりながら、合宿所を見つめていた。
テギョンに肩を叩かれ、ミニョは、合宿所の中に入っていく。
「ミニョ~!?おかえり~!!」
リビングにいたジェルミが、ミニョの姿に気づき、駆け寄り、抱きついた。
「よかったぁ、ミニョ、帰ってきたんだね、ホントに、よかったぁ~!!」
ミニョに抱きついたまま、鼻を啜りながら泣いているジェルミ。
「・・・うん、ありがとう。
ただいま、ジェルミ・・・」
感動の再会を喜んでいるふたりの姿に、テギョンは、少々、いや、かなり、苛立っているようだった。
ミニョから離れようとしないジェルミに、テギョンの口はこれ以上なく尖り、ジェルミのフードを掴むと、容赦なく、首を締め上げていた。
「く、く、くるひぃ・・・」
ジェルミの腕がミニョから離れると、テギョンはニヤリと笑い、ジェルミを苦しみから解放した。
「ゲホ・・ゲホ・・ヒョン・・そんなことしたら、オレ、死んぢゃうから・・・」
「フン、じゃあ、今後、一切、ミニョに触れないことだな・・・」
「えぇぇ・・・Σ(゜Д゜)」
そんなん、無理だぁ・・・
不服そうに、ジェルミの口が歪む。
「ミニョ、今日は、パーティーしようね!!シヌヒョンとミナムに連絡しておかないと!!」
ジェルミは、ケータリングを頼み、仕事を終えたシヌとミナムは、ミニョが好きなケーキやアイスを買って帰ってきた。
「おかえりなさい」
ミニョが、玄関で、ふたりを出迎える。
「おかえり、ミニョ・・・よかったな。」
「ありがとうございます、シヌヒョン。」
シヌは、優しい笑顔でミニョを見つめ、頭をクシャクシャに撫でた。
「・・・お兄ちゃん」
ミニョは、ミナムの顔を見るなり、子どものように泣きじゃくり、ミナムに抱きついた。
ミナムは、ミニョの背中をポンポン優しく叩いている。
「お兄ちゃん・・・」
「うん、わかってる。」
さすが、双子というべきか、言葉を交わさなくても、お互いの気持ちは通じあっているらしい。
さすがのテギョンも、兄妹の抱擁には手を出せないらしく、口を尖らせながら、見ているしかなかった。
パーティーに、マ室長とワンコーディの姿も見せたとき、テギョンの隣の席には、もちろん、ミニョが座っていたが、ひとつのグラスを取り合って、口ゲンカをしていた。
「いいじゃないですか、ほんの少しだけです!!」
「ダメだ!一滴も飲むな!!」
「よかった、よかった・・・すべて、元通りだぁ・・・」
「何、泣いてるのよぉ~!」
ふたりの姿に、眼鏡を外してオイオイ泣くマ室長に、容赦なく、肘鉄を喰らわせるワンコーディも、しおらしく涙を見せていた。
結局、シヌがふたりを宥め、ミニョは、一杯だけ呑ませてもらっていたが、気分良く浮かれていたせいか、呆気なく、寝落ちた。
「・・・ほらな」
ため息を吐くテギョンの肩に頭を凭れかけながら、ミニョは寝ていたが、テギョンは、顔をしかめることも、頭を押しやることなく、そのままでいた。
「ふ~ん」
向かいの席に座っていたミナムは、テギョンを見ながら、ニヤニヤ笑っている。
「何、笑ってるんだよ!?」
「別に・・・ミニョ、寝ちゃったからさ・・・プレゼント部屋は、また元通りだし・・何処に寝かせようかなぁ・・・」
「別に、俺の部屋で構わないだろ。」
当たり前のように言い切るテギョンに、驚いたのは、兄ミナムではなく・・・
「えぇぇぇ!!(゜ロ゜ノ)ノそれは、やっぱりダメだよね、ミナム??」
・・・ジェルミだった。
「別に、いいんじゃね。俺が口出しすることもねぇーべ。じゃあ、テギョンヒョン、ミニョを運んでね。よろしく。」
フンと鼻を鳴らすとテギョンは、ミニョを横抱きし、さっさと部屋に向かってしまう。
ジェルミは、ミニョをお姫様抱っこするテギョンの後ろ姿を目を丸くしながら見ているしかなかった。
テギョンは、ミニョを、自分のベッドに、そっと寝かすと、ミニョの横に腰掛けた。
柔らかな笑みを浮かべながら、眠るミニョの頬を撫でる。
「・・・おかえり、ミニョ」
ミニョの合宿所での生活が、再び、始まった。
★★★★
さて、『決意表明』もしたので、気持ちを切り替えて、ハナシを再開しましょう(。・ω・。)ゞ
『Another Story』は、アメ記事含み、残り10話あるか、ないかです。
ずっと暗かったんで、明るいハナシとともに、もちろん、ハッピーエンドで迎えたいと思います。
追記…コメント、メッセージ返信させていただきました。コメント、 メッセージ送ってくださった皆さま、ホントにありがとうございました。(*´ー`*)