『happiness』

「ある日の朝。」



時間に縛られないオフの朝。
外は、真夏の太陽がジリジリと照りつけているのに、室内は、エアコンのお陰で快適だ。
幸せな微睡む朝の時間。
腕に抱いているのは、もちろん、愛しの妻であるミニョ。
自分に背を向けて、まだ眠っているのが、気に食わず、口を尖らしながらも、白い首筋にキスを落とす。
弱い耳朶を甘噛みすると、ピクッと反応する身体。
腰に回していた手を、ノースリーブのチュニックの裾から滑り込ませると、柔らかなお腹に触れる。

「えっ・・?あ ッ・・オッパ・・・ダメ・・・」

クスクス笑いながら、下着を着けていない豊かな胸に触れようとしたとき・・・

「オギャア!!オギャア!!」

「オッパ・・・クムが起きちゃったから、行かないと・・・」

「チッ・・・」

起き上がったミニョの身体からスルリと、力なくテギョンの手が滑り落ちる。
我が子に邪魔されたテギョンは、大人気なく舌打ちした。

結婚9年目を迎えても、テギョンの愛は、色褪せることなく、健在だった。

5月に、元気な産声とともに、ファン家の次男坊が誕生した。
名前は『クム』韓国語で「夢」を意味する。
テギョンが辿り着けなかったミニョの胸を、一人占めしているクムのちっちゃな手が掴み、懸命に吸っている。

ひとりじゃ寝る気もなく、起き出したテギョンが、母乳をあげているミニョの背中に覆い被さるように抱きつく。

「お前が吸い付いているモンは、俺のモノだからな」

テギョンの指が、クムの頬を突っつく。

「もう・・オッパ・・・」

途端に、頬を真っ赤にするミニョが恥じらうその姿は、いくつになっても変わらない。
真っ赤に染まるその頬に、テギョンはキスをする。

「サランヘ・・・」

「サランヘヨ・・・オッパ」

『ずっと言ってやるから、毎日、聞け!・・・サランヘ』
あのコンサートから10年以上の月日が流れようと、今も変わらずに、日常のように交わしている愛の言葉。
ふたりが見つめ合い、どちらからともなく唇を寄せる。

「あー!!お兄ちゃん!!また、パパとママがチューしてるよ!!」

ソラの無邪気な円らな瞳が、ふたりを見つめている。

「ソラー、ダメだよ!そういうときは、目をつぶってなきゃいけないんだってさ、パパに怒られちゃうぞ、って、ジェルミが、前に言ってた。」

「そうなの?ソラは、みてませんよぉ~」

ソラが、慌てて両手で目を隠してる。
ふたりは、クスクス笑い合うしかない。

「ソラ、もう、いいぞ。」

「いいの?」

すると、ソラがテギョンに向かって走り出すと、テギョンに抱きつく。
愛娘にデレデレのテギョンが、コチョコチョとソラの身体擽っている。
ソラが、楽しそうに声をあげている。

ミニョは、クムをベビーベッドに寝かす。

「おはよう、ママ・・・クムは?」

「ユエ、おはよう。今、お腹いっぱいになって、また、寝ちゃったとこ。さぁ、遅くなっちゃったけど、朝ごはんの仕度しないと。何、食べたい?」

「パンケーキ!」

「手伝ってくれる?」

「うん!」


家族と過ごす幸せなある日の朝のハナシ。




★★★★

久々の『happiness』シリーズでしたが、大丈夫でしたかね?
実は、子どもなど色々な設定や書き方を忘れちゃって…苦労してました(笑)
( ̄∇ ̄*)ゞ

次男坊『クム』の誕生です。誕生日は、ユエ(8/4)とソラ(2/18)のほぼ真ん中に当たる5月15日に設定してます。
名付けは、共通点である、名前2文字、意味が漢字一文字であること。『ユエ(月)』『ソラ(空)』『クム(夢)』