「今宵、月明かりの下で…」27
「噂」
頻繁に、『三日月館』に出入りしているテギョンの姿は、いつの間にか、両班の娘たちの噂の的になっていた。
両班の娘が行きつけの店の前では、数人の娘が集まり話をしてる。
『ねぇ、ファン・テギョン様の噂、聞いた?』
『聞いた、聞いた。でも、ファン・テギョン様って、女嫌いで、有名だったわよね?』
『そうそう。でも、最近、『三日月館』に出入りする姿を目撃されてるみたい。』
『『三日月館』?』
『そう、妓楼よ。その『三日月館』にいる『ウォルファ』っていう妓生と、恋仲なんじゃないかって、噂されてるの。』
『でもでも、テギョン様には、婚約者のユ・ヘイ様がいるんじゃない?』
『ねぇ、たぶん、その『ウォルファ』っていう妓生が、テギョン様をタブらかして、寝とったんじゃないの?』
『『ウォルファ』っていう妓生、確か、カン・シヌ様とも関係あるじゃなかった?』
『えぇ!?テギョン様とシヌ様、手玉取ってるなんて、狡くない?』
『あぁ、でも、妓生なら、有り得るわね。私も、テギョン様とシヌ様と床を共にしたいわぁ~。私、妓生になろうかしら?』
『冗談よしなさいよ。所詮、卑しい身分。どうせ、そのうち、無惨に捨てられるのが、オチよ。』
クスクス笑いながら、娘たちが話しているのを、偶然、店の前を通りかかって聞いてしまったヘイは、わなわなと身体を震わせた。
“テギョン様が、最近、勉強が大変だからって、全然、会ってくれないから、不安だったのに・・・理由が、それだったのね!『三日月館』のウォルファね。テギョン様は、私に、指一本、触れてくれないのに!!絶対、許さないわ!!テギョン様は、私のモノになるの!!”
ヘイは、唇を噛み締め、『三日月館』に向かっていた。
★★★★