「今宵、月明かりの下で…」26

「独占欲」





その日を境に、テギョンは、時間を見つけては、ミニョに会う為、『三日月館』に足を運んでは、ミニョとの愛を深め合っていたが、所詮、テギョンは、成均館の儒生である。成績優秀で真面目なテギョンは、呑気に、女遊びをしている暇もなく、試験期間が近くなると、書庫に籠り、夜更けまで調べものをすることが多くなっていた。

その日も、空が白々しく明け始めた朝焼けの中、目を擦りながら、テギョンは、寄宿舎へと歩いていた。
まだ、人通りもない、妓楼通りを通り掛かると、たまたま、シヌを見かけた。

『シヌか、またアイツは、呑気に、妓生遊びをしていたのか・・・』

テギョンが、溜め息を吐いていると、シヌを見送る妓生の姿を捉えた。
シヌが、妓生を抱き締める。
その妓生に、テギョンの目が見開く。

「・・・ミニョ?」 

ウォルファの耳元で、何かを囁くシヌに、ウォルファが、クスクスと笑いながら手を振り、シヌを見送る仲睦まじい姿を見てしまったテギョンの目には、その光景が焼きつき、帰ってから、一睡もすることが出来なかったのだ。


その夜、『三日月館』にいたテギョンの端正な顔には、疲労の色が色濃く見えていた。

「テギョン様、大丈夫ですか?顔色がよろしくないようです。もう、休まれた方がよろしいかと・・・」

「大丈夫だ・・・」

心配そうにテギョンを見つめるウォルファは、朝、テギョンに見られていたなど露知らず、いつものように、テギョンに寄り添い、酒の相手をする。

空になった盃に、ミニョが、酒を注ごうとする、その手をテギョンに掴まれる。

「ウォルファ・・・今宵は、俺だけを相手をしてくれぬか?」

「テギョン様・・・どうされたのですか?」  

いつもと様子の違うテギョンに、ミニョは首を傾げた。

「金が欲しいのなら、やる。お前が欲しいものがあるのなら、全て、お前に与えてやる。お前が、他の男を相手している姿を見たくない・・・。」

テギョンは、ミニョの身体を引き寄せ、強く抱き締めると、ミニョの肩に顔を埋めた。

“『ウォルファ』は、万人の恋人なのだから、その妓生が、一晩、男と共にすることは、当たり前のことだ・・・。
それを、覚悟しながら、自分は、『ミニョ』に恋をし、愛したはず・・・。目の前にいるのは、『ウォルファ』の姿をしている『ミニョ』だ。『ミニョ』の心は、誰にもやらない。俺だけのモノだ・・・”

「ミニョ・・・愛してる」

テギョンは、ミニョの顎を掴み、紅く色付いたミニョの唇を塞ぐと、ミニョの身体を押し倒し、その上に、覆い被さった。
酒の味が残るテギョンの舌がミニョの舌に絡み、テギョンの手が、ミニョの身体の上を弄(まさぐ)るように動き、チョゴリの胸元の紐を解くと、ミニョの露わになった白い肌に唇を這わせながら、独占欲の象徴である、鮮やかな紅い痕を刻みつけた。





★★★★


お気づきの方もいらっしゃいますかね?少し、手を加えていますが、予告編で、書いたものです。何処かに入れたいなぁ~と考えて、やっと、ハナシに入れることが出来ました。(*´∀`)
さて、次、アメ記事ないですけど、いいですよねぇ・・・?