美男2
~Another Story~

「流れ星」
*67*



・・・どうしよう

・・・どうしよう

ミニョは、携帯画面を見つめたまま、戸惑っていた。
携帯は鳴り止むことなく、ミニョの手の中で震えている。
困ったように、目をキョロキョロと動かすと、ミニョは、震える指で、通話ボタンを押した。

「・・・もしもし?」

テギョンは、根気よく、携帯の呼び出し音を鳴らし続け、ミニョが出るのを待っていた。
やっと、電話に出たミニョの声。
久々に聞いたその声は、小さく震えていた。
電話に出なかったことに関しての怒りや責める気持ちはなく、寧ろ、出てくれたことに、テギョンは、安堵していた。

「コ・ミニョか・・・?」

落ち着いた低い声は、間違いなく、テギョンだった。

「・・・はい」

「今、何処にいる?」

「えっ・・・?」

会いたいのに、言葉が出てこない。

場所を言うべきか、どうか、一瞬、躊躇ってしまい、ミニョは、すぐに、答えられずにいた。

「・・・会いたい
ミニョ、会いたいんだ。お願いだから、何処にいるか、教えてくれ。」

懇願するテギョンの声が、切なく、耳に響く。
その声が、胸まで締め付けられるように苦しくなるのを感じる。
泣きそうになるのを堪えながら、ミニョが、場所を告げた。

「・・・あの、テギョンさんの誕生日にメンコを飛ばした公園です。」

「わかった。すぐに、行くから、その場から、絶対に、一歩も動くなよ!!」

電話を切ると、テギョンは、思いっきり、アクセルを踏み込んだ。

ミニョは、信じられないのか、呆然と、電話が切れても、携帯を手にしたまま、立ち尽くしていた。
場所を告げたとき、テギョンは、確かに、『わかった。』と言った。

“もし、記憶が戻っていなければ、テギョンさんは、わからないはず・・・

『わかった。』っていうことは、テギョンさんの記憶が戻っていると、いうこと・・・?”

ミニョの胸が期待にときめき、ドキドキと高鳴り、身体が震える。
ポツポツと降りだした雨にも、今のミニョは気付かなかった。

その雨は、信号待ちをしていたテギョンの車のフロントガラスも、雨粒が濡らしはじめる。
そのうち、本降りになってきた雨に、通行人たちは、持っていた傘を広げたり、足早に走りはじめていた。

“ミニョは、この雨の中、待っているだろうか・・・”

不安になりはじめたテギョンが、フロントガラスの雨粒を見つめていた。
車は、公園に着く。
テギョンは、車から降りると、足早に、公園の中に入っていた。
キョロキョロと辺りを見回すが、ミニョの姿は何処にもなく、テギョンは、深いため息を吐き、踵を返そうとしていた。

「あっ・・・痛い・・・」

“ゴツン”と何かがぶつかる音。
足元から聞こえる声に、テギョンは、遊具の下を覗き込んだ。

そこには、ぶつけた頭を抱えているミニョがいた。

ミニョの姿を見た途端、テギョンの頬が弛んでいく。
ニヤニヤしてしまう口元を拳で隠すと、咳払いをした。

「コ・ミニョ、此処で、何をしてる?かくれんぼでもしてるのか?」

「あっ、テギョンさん・・・」

テギョンを見上げたかと思うと、ゴツンと、また遊具で頭をぶつけるミニョ。

「イタタ・・・」

「・・・ったく、お前ってヤツは、相も変わらず・・・ほら、出てこいよ。」

シュンと俯いたミニョが、頭を擦っている。

「大丈夫か?」

「だ、大丈夫です。」

目の前に立つミニョを、テギョンは引き寄せると抱き締めた。
雨でひんやりと冷たくなってしまった身体は、ミュージックビデオの時のミニョを思い出させる。

「冷たいな・・・」

「すみません・・・」

ミニョが離れようと身動ぐのを、テギョンは、グイッと強く、胸に引き寄せた。

「謝らなくていい・・・。

長く・・待たせて・・・悪かった。」

「・・・テギョンさん」

ミニョの声が、震えている。
テギョンは、ミニョの身体を離すと、ミニョの顔を見つめた。

「・・・俺が、また、お前の星になる。
だから・・・
これからは、ずっと、その星だけを見てろ。
ずっと、俺のそばにいろ。
もう、二度と離さない・・・」

ポロポロと零れ落ちる涙を、指で拭い、ミニョの冷たい頬を両手で覆う。

「サランヘ・・・ミニョ・・・」

ミニョを見つめながら、震えるミニョの唇に、そっと、口づけを落とすと、もう一度、テギョンがミニョを力強く抱き締めた。





★★★★

とりあえず、おふたりさん、再会を果たせました。
はぁ、良かった、良かった。(*´ー`*)

あんまり、感動的にはならず・・・すみませーん、反省です。(/ー ̄;)
まだ、ハナシは続きます。
積もりに積もったハナシもありますし、少しだけラブラブにしてあげたいし、とりあえず、目標としては、70話~80話で終わらせるように、ガンバります。o(`^´*)