美男2
~Another Story~
「ブタウサギの捕獲」
*65*
テギョンは、目の高さに持ち上げた携帯を睨みながら、不機嫌そうに口を尖らしていた。
一晩中、ミニョからの連絡を待ち続けたテギョンは、一睡もしていなかった。
“なぜ、コ・ミニョから、連絡のひとつもないんだ?
電話番号だって、ミナムに何度も確認したから、間違いない・・・
それに、留守電にも、メッセージを吹き込んだ。
『あぁ、ヒョン、ミニョは、鈍感なんだから、遠回しな言い方はやめろよ。絶対、通じないからさ。』
だから、素直に、率直に言ってやった。
な の に
なんの連絡もないのは、どういうことだ?
もう、朝だぞ!!
いくらなんでも、すでに、メッセージ聞いてるはずだ。”
テギョンは、尖らした口を左右に動かした。
まさか、考えたくもないが・・・
俺・・・フラれたのか・・・?
だから、連絡が来ないのか・・・?
テギョンは、手で顔を覆うと、深い溜め息を吐いた。
ペットボトルに手を伸ばすが、空になっていたことに気づき、テギョンは、キッチンに向かう。
冷蔵庫から、ペットボトルを取り出し飲んでいると、Tシャツ姿のミナムが、タオルで濡れた頭を乾かしながら現れる。
「おはよう、ヒョン。ミニョから、連絡あった?」
“その話はするな”と、ミナムを睨み、口を尖らしているテギョン。
「・・・ヒョン、すぐに、ミニョから連絡なんて来るはずないんだからさ・・・気長に待ってあげてよ。
まさか、連絡来ないだけで、フラれたとか、思ってないよねぇ?」
「あ、当たり前だ・・・」
「毎日、電話して、気持ち伝えろよ。たった一回だけの電話じゃ、ミニョ、信じないからね。」
「・・・わかってる」
「一応、兄貴が応援してやってんだから・・・有り難く思ってよ」
ニヤリと笑いながら、テギョンの肩に手を置くミナム。
「余計なお世話だ!」
テギョンは、ミナムの手を振り払う。
「アハハ・・素直じゃないなって・・・あっ、ヤバ!!デートに遅れる・・・」
本日は、メンバー全員、貴重なオフを貰っていた。
「まさか、お前、まだ、ユ・ヘイと付き合ってるのか?」
「ご想像におまかせします」
意味深な笑みを浮かべながら、ミナムは、自分の部屋に戻っていく。
テギョンは部屋に戻り、もう一度、ミニョに、電話をしてみたが、ミニョの携帯に電源が入っておらず、繋がらなかった。
“一体、どこにいるんだ・・・ブタウサギ?”
“ん・・?ブタウサギ・・・?”
ふと、ブタウサギの存在を思い出したテギョンは、プレゼント部屋に行き、ブタウサギを捕獲してきた。
「よし、ブタウサギ確保。もう二度と、追い出すことはしないから、逃げ出すなよ」
テギョンは、ブタウサギをソファーの上に座らせた。
耳には、キラリと輝くリボン型のヘアピン。ミニョに、最初にあげたプレゼント。
壊れて、使えなくなっても、ミニョが、大事に持っていてくれた。
それだけで、嬉しくて、テギョンの胸がいっぱいになるのを感じる。
「今度、本体(ミニョ)には、新しいのを買ってやらないとな・・・。その前に、なんとしてでも、捕獲をしないと・・・。」
テギョンは、ブタウサギの頭を撫でた。
昼頃、テギョンは、思い立ったように、車を走らせ、ある場所に向かった。
★★★★
感動的(?)な再会まで、もう・・・しばらく、お待ちくださいませ。