美男2
~Another  Story~

「サプライズ」
*54*


試写会の会場に着いた3人は、会場の入口にいた事務所の関係者に話を通し、会場内に入っていく。
場内は、上映会の真っ最中で、ミニョの歌声だけが響き渡っていた。
3人は、客席に座ることなく、客席の一番後ろで、立ち見のまま、大きなスクリーンに映し出されているミニョの姿を、各々、色々な思いで見ていた。
上映が終わり、会場が、拍手に包まれ、場内が明るくなる。
会場の鳴り止まない拍手に、どことなく安堵の表情を浮かべる3人。

「それでは、皆様、お待たせしました。本日の主役、コ・ミニョさんの登場です。どうぞ、こちらへ。」

舞台袖から、ミニョが現れると、一斉に、カメラが向けられる。
シャッター音とフラッシュを浴びながら、ミニョが、舞台中央に現れる。
ミニョは、ふわりとカールした髪に、白の花飾りがついたヘッドドレスをつけ、白のレース地のワンピース、黒のヒールを履いている。
緊張した面持ちで会場を見渡すミニョ。

「・・・皆様、はじめまして、コ・ミニョです。よろしくお願いいたします。」

丁寧にお辞儀をするミニョ。

「皆さん、天使の歌声の持ち主は、容姿も本当の天使のようですね。コ・ミニョさんは、皆さんもご存知の、あのA.N.JELLのメンバーであるコ・ミナムさんの双子の妹さんなんですよね。やっぱり、お兄さんに似ていると言われますか?」

「・・・そうですね、髪型がショートカットの時は、よく、似ていると言われましたね。」

「そうですか。ミュージックビデオには、A.N.JELLのメンバーであるファン・テギョンさんが恋人役、カン・シヌさんが婚約者役で出演されていて、しかも、キスシーンまでありましたが、おふたりと共演してみて、いかがでしたか?」

「あ・・・はい。すべてが、初めての経験で、緊張して、たくさん戸惑うこともありましたが、ふたりの大先輩が、本当に優しく、すべてにおいてリードしてくださったので、本当に、心強く、有り難かったです。」

ニッコリと笑みを見せながら、答えるミニョ。
ミニョが、緊張でパニックにならないように、司会者の質問もミニョの答えも、すべて台本が用意されていた。

「今後の芸能活動でやってみたいことはありますか?」

「・・・まだ、デビューをしたばかりなので・・・今は、何事にも一生懸命、頑張っていきたいです。皆様の応援よろしくお願いいたします。」

「これからのご活躍、期待しています。コ・ミニョさん、ありがとうございました。」

「ありがとうございました。」

最後に、雑誌や新聞など各紙の撮影会を行い、無事に、試写会が終了する。
事務所の関係者に頭を下げながらミニョが、控え室に戻る。

「ミニョぉぉ~!お疲れ~!!」

「ミニョ、お疲れ様。」

「ミニョ、お疲れさん」

ミニョが、ドアを開けると、先回りしていた3人が出迎えた。

「シヌさん・・・ジェルミ・・・どうして・・・?」

驚きで、目を丸くしているミニョ。

「ミニョぉぉ~、黙って出ていくなんてさ、ダメだよ。淋しいじゃんかぁ~!!」

口を尖らし、顔を歪めたジェルミが、ミニョに、ギュッと抱きつく。

「・・・ごめんなさい・・・ジェルミ・・・」

シヌは、ジェルミを引き剥がすことなく、ミニョの頭を優しく、黙って撫でている。

「・・・ごめんなさい・・・シヌヒョン・・・」

とうとう、グスグス泣き出すミニョ。

ミナムは、口角を少しだけあげながら、その様子を、静かに見守っていた。



★★★★