美男2
~Another Story~
「償い」
*42*
テギョンは、途中で、パーティーを抜け出した。
携帯電話が鳴り出し、ある人物に呼び出されていたのだ。
指定された場所は、有名な大学病院の特別室だった。
病室のドアをノックする。
「どうぞ、入って」
テギョンが、病室に入る。
「久しぶりね、テギョン」
ベッドに横たわる女性・・・テギョンの実の母親、モ・ファランだった。
細い腕には、点滴の管が通り、頬が痩(こ)け、やつれているように見える横顔は、美しかった母親の面影は薄れていた。
「来てくれて、嬉しいわ。そこに、座って。」
ファランに促されるまま、ベッドサイドの椅子に腰かける。
ファランは、リモコンで、ベッドを起こし、身体を起こした。
「あなたが、交通事故に遭ったって、聞いたわ。大丈夫なの?」
ファランが、心配そうな瞳で、テギョンを見つめるが、テギョンは、顔を背けてしまう。テギョンの頬に触れようとしたファランの手は、触れることも出来ず、力なく、手を下ろした。
残念ながら、記憶喪失という、テギョンの事故の後遺症の影響は、ここにもあった。
母親に傷つけられた傷は、深く刻まれ、母親を憎い気持ちも、そのままだった。
テギョンは、母親らしいことをするファランに、嫌悪感を抱いていた。
ファランは、小さくため息を吐く。
「ごめんなさいね・・・今更、母親ヅラするなって、思っているわよね?でも、心配くらいさせてちょうだい。嘘だと思われるかもしれないけど、私は、あなたを愛しているの。
長い時間を掛けてしまったけど、やっと、わかったの。
あなたの大事さが・・・。でも、私は、そんな大事なモノを捨てようとした、愚か者な母親なのよ。
だから、罰が当たったのね。
私には、残された時間がないの。今、出来ることは、あなたに、許しを請いながら、心から、あなたを愛するだけなの。」
そんな母親の姿を、テギョンは、ただ、黙って見つめていた。
・・・・どうして・・・なぜ、そんな話をするんですか?貴女は、そんな女性(ヒト)じゃないでしょう・・・?
「・・・大切な人を捨てさせるのは、愛ではないから、と・・・あの娘(コ)に、教えられたから。テギョン、あなたには、私みたいに、大事なモノを失って、後悔させたくないの・・・。だから、これ以上、あなたが傷つかないことを、あなたたちの幸せを祈っているわ。
あの娘は、アフリカから帰国してるのかしら?出来れば、最期に、もう一度、会いたいわ。・・・会ってくれるかしら・・・?」
あの娘・・・?
まさか、コ・ミニョのことなのか・・・。
一体、このヒトと、どんな関係があったんだ・・・?
テギョンは、考える度に、ズキズキと片頭痛を感じ、何かを思い出そうとしている頭の中は、混乱していた。
★★★★
ごめんなさい。皆様に、心配掛けてしまいました。なんとか、「Secret moon」24話が残っているようなので、安心しました。
これからも、辞めずに、めげずに、頑張りますので、もう、大丈夫です。
温かい励ましのお言葉、ありがとうございました。