『happiness』
「何にもいらないくらいに…」
「ママぁ~お誕生日おめでとう~」
ちっちゃなふたつの手には、色紙で作ったお花の花束と母親の似顔絵。
「ありがとう、ユエ、ソラ」
両手にプレゼントを持ったまま、ふたりをぎゅーっと抱き締める。
「もう~、ママぁ~、離してぇ~、赤ちゃんが、苦しいって・・・」
ソラが、頬をプクッと膨らませる。
「ああ、そうか・・・ごめんね」
ミニョが、ふたりから離れると、クスリと笑い、自分のお腹を擦った。
ミニョのお腹の中には、新しい生命が宿っていた。
ソラが、ミニョのお腹に、耳を当てる。
お姉ちゃんになるソラは、嬉しくて堪らないようだ。
ミニョは、微笑みながら、ソラの栗色の髪を撫でた。
テギョンが、今日は、夜遅くなることを聞いていたので、夕食は、三人で作ったカレーライスを食べて、済ました。
食後の後片付けを手伝っているユエは、もうすっかり、頼れるお兄ちゃんになっていた。
まもなく、日付が変わるという頃になって、漸く、テギョンが帰宅するが、部屋に灯りが点いていることに、テギョンの口が尖る。
「あっ、おかえりなさい、オッパ」
「ミニョ、待たずに、寝てろって言ったじゃないか!」
つい最近、ソウルにも、初雪が降り、寒い日々が続いている。
妊婦は、健康が第一だ。風邪をひいてしまったら、大変だからと、テギョンは、ミニョに、無理せず、自分を待たずに、早く休むように、言っていたが、ミニョは、リビングのソファーで編み物をしていた。
「ごめんなさい。つい、夢中になっちゃって・・・」
エヘヘと笑いながら、編み物を見せる。
「ユエとソラに、クリスマスプレゼントを作ってあげたくて・・・」
編み目は、ボコボコで、形も歪だけど、愛情は、たっぷり籠っている。
”今日は、仕方がない・・・“
時計をチラリと確認したテギョンが、編み物を持っている、ミニョの手を取り、ミニョを抱き締める。
「お誕生日、おめでとう・・・今日は、お前が生まれた大切な日だ。生まれてきてくれて、ありがとう・・・」
「・・・ありがとうございます」
「で、プレゼントは、何がいいんだ?」
抱き締めたまま、ミニョの肩越しで聞く。
「いりません。」
「はあ?」
テギョンが、顔を上げ、ミニョと顔を見合わせる。
「誕生日の日くらい、贅沢言ってもいいんだぞ」
韓国で大人気アイドルのリーダーの嫁とは言え、ミニョは、普段から、贅沢もしなければ、欲も、ほとんど、ない。欲は、欲でも・・・食欲は、あるが・・・物欲が、本当に、ない。
幼い頃から、贅沢からほど遠い質素な暮らしをしていたせいも、あるかもしれないが・・・。
「う~ん、ないです。」
ミニョは、首を横に振るが、テギョンは不服そうに、口を尖らす。
「今のままで、何もいらないくらい、私は、じゅーぶん、幸せです。
今までの私には、家族が、お兄ちゃんしか、いませんでした。でも、今は、オッパがいて、ユエとソラと・・・このコがいる。家族がいること・・・これ以上の贅沢は、ありませんよ。」
ミニョは、テギョンの手を握り、涙を浮かべながら、ニッコリ笑う。
「だから、これからも、そばにいさせてください。それだけで、私は、幸せですから・・・」
テギョンは、返事の代わりに、ミニョを、力強く抱き締める。
「あぁ、許可してやる。俺のそばにいてもいいのは、お前だけだ。
ミニョ・・・サランヘ」
「サランヘヨ・・・オッパ」
・・・・・貴方には、きっと、わからないかもしれない。
星のように、輝き続ける貴方を、ずっと、独り占め出来るなんて、本当に、贅沢なことなんですよ。
貴方が、そばにいてくれる、それが、私の最高の誕生日プレゼント。
ただ、それだけで、じゅーぶん、幸せですよ。
★★★★
すっかり、双子の誕生日を忘れてましたぁ・・・(;´Д`)
ある書き手さんのハナシで、思い出して、あぁ、ごめんなちゃい、ミニョ(;つД`)
ということで、切ないハナシが続いているので、少し、箸休めとして、書いてみました。
気付いたら、おめでたのミニョですが・・・ちなみに、トモダチコレクションのグンシネカップルには、なんと!!!!6人!!の子どもが、います。どんだけ、ラブラブなんだろか・・・
(゜_゜)(。_。)(゜_゜)(。_。)