美男2
~Another Story~
「夢見」
*35*
テギョンに抱き上げられ、ミニョは、申し訳ないと思いながらも、テギョンに甘えてしまった。
憎まれ口を叩きながらも、心配してくれる優しさは、変わらないんだな・・・と、薄れていく意識の中で、感じながら・・・。
ミニョが、瞼をゆっくりと開けると、そこは、病室だった。
熱は、だいぶ下がったもの、まだ、熱は残っているため、頬は赤く、熱で、目が潤んでいる。
それでも、今のミニョは、少しだけ、気分が良かった。
少しだけ、夢をみていた。
懐かしくて、優しい、テギョンの大きな手の感触を、リアルに感じていた。
きっと、夢なんだろうと、夢でいても、分かっていたけど、嬉しくて、離れたくなくて、夢だったら、何にも、文句を言われないはずだからと、その手に、擦り寄っていた。
ミニョが、その感触を思い出し、笑みを浮かべていると、テギョンの咳払いが聞こえ、?を浮かべながら、ミニョが顔を上げると、テギョンと顔が合う。
「だ、大丈夫か?」
テギョンは、なぜか、目を合わそうとせず、視線をキョロキョロと動かしている。
「はい・・・大丈夫です・・・ありがとうございます。すみませんでした」
ミニョが、感謝と謝罪の言葉を口にしても、テギョンは、ミニョを見ることなく、視線を、下に落とした。
ミニョも、同じように、視線を下に落とすと、繋がったままの手が、目に入る。
「あ・・・あ・・・ど、どうしよう・・・ごめんなさい・・・」
テギョンの手を握っていたことに、
気付いたミニョは、慌てて、テギョンの手を離した。
また、熱を上げてしまったように、恥ずかしそうに、顔を真っ赤にするミニョに、離れたテギョンの手が、サッと、ミニョの額に触れた。
顔を真っ赤にしたまま、驚いたような丸い目で、テギョンを見ている。
テギョンが、バツ悪そうに、額から手を離す。
「と、とりあえず、下がったようだな・・・大丈夫なようなら、帰るぞ」
「・・・はい」
困ったように、ぎこちなさそうに、お互い、視線を外し、目を合わそうともしなかった。
★★★★