美男2
~Another Story~

「ミニョの歌声」
*26*


社長室に、ミニョの歌声が響く。
聴く者すべてが、聞き入ってしまう。

『貴方に出会って

私のすべてが変わったの

貴方がいるだけで、世界が色を変える

貴方がいるだけで、私は幸せなのよ

だから…わかるでしょ?』

曲のタイトルの『Without you…』(貴方なしでは…)の通り、サビの部分では、そのフレーズを繰り返す。
ミニョの歌声に、切なさが増し、曲を盛り上げる。

『貴方なしでは…
私は、生きてはいけないのよ
貴方なしでは…
私は、抜け殻と同然

私には、あなたの愛だけが
必要なの

だから、お願い
私のそばにいて
ずっと…ずっと…
貴方を…愛してるの

貴方なしでは…』


歌が終わっても、誰も、口を開こうとしなかった。
歌が下手だったら、貶(けな)してやろうと思ったテギョンさえ黙って、目を閉じたままだった。
誰もが、歌の余韻に浸っていた。
静かな社長室に、ズル…と、誰かが、鼻を啜る音。

「ジェルミ、お前、何、泣いてんだよ?」

ミナムが、泣いているジェルミをからかう。

「だって・・・ミニョの・・・歌声が・・・」

おいおい泣きながら、ゴシゴシと目を擦るジェルミ。

ミナム「確か、ドラマのOSTになるんだよな?」

「ああ、そうだ。有名脚本家が手掛けるラブストーリーで、女主人公の気持ちを歌にしているんだがな。ドラマのプロデューサーも、大喜びだった。これで、視聴者の心、鷲掴みだ!ってな。」

自分のことのように、自慢げに話すマ室長。

ミナム「で、MVの話はどうなってるの?」

「ああ、すでに、監督も決まって、絵コンテも出来ているんだが・・・」

アン社長が、テーブルに絵コンテを広げてみせる。

「うわ・・!?キスシーンあるじゃん・・しかも、二回も!違う相手と・・・ミニョ、大丈夫かな?」

ミナムが、苦い顔をしている。

ジェルミ「で、相手役は誰なの?やっぱり、俳優さん?」

「実は、その話だが、相手役を、テギョンとシヌに、決めようと思う。」

アン社長は、二人の否応なしに、決める。
テギョンは、口を尖らし、シヌは、複雑な表情を浮かべていた。




★★★★