「Secret moon」18

「目の前にいるキミ」


テギョンに抱き締められても、ミニョの表情は、硬いままだった。
ミニョは、テギョンに、想いを告げてしまったことを、後悔が押し寄せていた。

「ごめんなさい・・・」

ミニョが、震えた声で謝る。

「何故、謝る?」

テギョンは、抱き締めていた腕を緩め、ミニョの顔を覗き込む。

「テギョンさんには、愛してる方が、いらっしゃるのに・・・」

テギョンは、ミニョの言葉に、首を傾げながら、口を尖らせ、考えていた。

“俺が、愛しているのは・・・”

「ごめんなさい・・・テギョンさんの気持ちを・・・わかっていたつもりなのに・・・迷惑をかけてしまって・・・」

ミニョが、ポロポロと涙を溢しながら、テギョンの胸元を押し、離れようとする。
だが、テギョンは、それを許さなかった。
ミニョの頭を掴み、グイッと、力強く、自分の方へと引き寄せると、ミニョの唇を塞いだ。
ミニョは、一瞬、何が起きたのかわからず、目を開けたままだった。
ただ、冷たい感触を、唇に感じていた。
ゆっくりと離れていくテギョンの顔が、間近で見える。
ミニョは、驚いたように、キョトンとした目で、テギョンを見つめていた。

テギョンが、大袈裟なため息を吐く。

「お前は、大きな勘違いしているな・・・俺が、今、愛しているのは・・・目の前にいる『コ・ミニョ』だ!!
・・・ったく、お前は、一体、何を勘違いしてるんだ?
確かに、お前の前世である『ミニョ』も愛してる。
だが、それは、過去にしか・・・過ぎないんだ。どれだけ求めても、『ミニョ』は、もう、この世には、いない・・・それが、事実なんだ。
今、俺の目の前にいるのは、『ミニョ』じゃない『コ・ミニョ』だろ・・・?
俺は・・・お前を・・・『コ・ミニョ』を愛している 」



★★★★