美男2
~Another Story~
「お願い」
*14*
私が、落ち着きを取り戻し、泣き止むまで、シヌヒョンは、何度も、優しく、頭や背中を撫でてくれていた。
「シヌヒョン・・・ごめんなさい・・・」
鼻を啜り、頬に残った涙を払いながら、頭を下げた。
「大丈夫?」
「はい、ありがとうございます。もう、大丈夫です。」
その時、ドアをノックする音が聞こえ、お兄ちゃんが、ドアの隙間から、顔を出した。
「ミニョ、ちょっと、いいか?」
お兄ちゃんが、部屋に入ってくる。
お兄ちゃんは、私の前に立つと、額に、手を当てる。
「まだ、少し熱があるな・・・大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「明日、社長が、お前に会って、話がしたいとさ」
「えっ?どうして?まさか・・・」
「大丈夫、入れ替わりのことに関しては、もう、社長にバレちゃたし・・・。」
「ヘ?」
バレちゃったって・・・どういうこと?
「大丈夫だって、ミニョを咎めるようなことは、絶対、しないから。安心しろ。それに、オレも、シヌヒョンたちも一緒だし・・・」
「・・・わかった。」
少し、アン社長に会うのが、怖かったけど、お兄ちゃんたちがいるならと、コクンと頷いた。
翌日、私は、久々に、A.Nエンターテイメントを訪れた。
お兄ちゃんが、社長室の扉を叩くと、アン社長が、出迎えた。
「久しぶりだね、コ・ミニョさん」
アン社長が、笑顔で、私に、手を差し出す。
「お久しぶりです、アン社長」
私は、緊張して、顔が強張ってしまって、笑顔もつくれず、ドキドキしながら、アン社長と、握手をした。
「さあ、みんな、座ってくれ」
ソファーに座ると、アン社長が、口を開いた。
「コ・ミニョさん、あなたが、ミナムと、入れ替わったことがあったことを、ひょんなことから知ってしまい、マ室長、ミナムから、事情を聞いた。あなたには、多大な迷惑をかけた。すまなかったね。」
アン社長は、いつもみたいに、英語を交えて話すこともなく、真面目に話をしている。
「いいえ、こちらこそ、ご迷惑をかけてしまい、すみませんでした。」
私は、謝罪を込めて、深々と、頭を下げた。
「いや、いいんだ。あなたには、感謝している。あなたのおかげで、A.N.JELLの結束が深まったと、思っている。・・・そして、テギョンが、一番、変わった。歌詞が、変わったんだ。前は、淡々と感じていたが、最近、作っていた歌には、様々な感情や思いを感じられていた。
そんな、テギョンを変えたあなたに、折り入って、お願いがあるんだ。
もう一度、歌手になってくれませんか?」
「えっ!?」
「入院してたテギョンヒョンが、退院して、仕事に復帰することが、決まったんだ。残念ながら、記憶は戻ってないんだけどさ。仕事した方が、何か、思い出すかもしれないし・・・それに、A.N.JELLや仕事に関しては、覚えてたんだ。シヌヒョンやジェルミのことは、覚えてた。だけど、オレのことは、覚えてなくて、受け入れてくれない。
だから、加入当初に戻って、ミニョと、一緒にいた方が、テギョンヒョンにとって、刺激になると思うんだ。
もしかしたら、記憶が戻るかもしれない。
ミニョには、辛いかもしれない。
だけど、希望は、あると思う。
お前は、コ・ミナムではなく、コ・ミニョとして、歌手デビューすることになるんだ。
大丈夫、オレたちが、ついてるから。」
ヒョンニムのために・・・
記憶のないヒョンニムと一緒にいる。
それは、辛く、哀しいことに、耐えることになる。
私に、出来るだろうか・・・
私は、返事に、戸惑っていた。
★★★★
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