美男2
~Another Story~
「遠い空の下」
*7*
韓国を離れて、1年になっていた。
最初に、この場所を訪れたときは、カルチャーショックを受けた。
道端で、通る車に、物ごいをする人たち。
ゴミを拾い集める子供たち。
自分が、どれだけ、恵まれていた環境にいたのか、改めて、実感した。
ボランティアで訪れた場所は、孤児院だった。
内戦や病気で、親を亡くしていたり、病気や、障害があったり、中には、心を閉ざしている子供もいた。
私は、この孤児院で、ケアスタッフとして、働くことになった。
最初の頃は、ホームシックにかかり、毎日のように、泣いていた。
英語も、ろくに話せず、言葉も通じず、コミュニケーションもとれなく、ストレスで体調を崩し、寝込んでしまい、ここでも、足手まといになってしまっていた。
食べ物も合わず、体調を崩すこともあった。医療環境も整っていなく、治療も出来ず、狭くて、固いベッドの上で、何日も腹痛に耐えていた。
使える水も限られていて、満足に、身体も洗えなかった。髪の毛も洗えないから、伸ばしたかった髪の毛も、また、ショートカットにした。
わずかな電気だけで生活をしていたから、もちろん、通信環境もなく、A.N.JELLの情報や、ヒョンニムやお兄ちゃんたちに連絡を取ることも出来なかった。
寂しくて、辛くて、毎日のように、私は、空を見上げていた。
雲ひとつない真っ青な空は、夜になると、満天の星空に変わった。
ひとつひとつの星が、キラキラと瞬いているのが、肉眼でもわかる。
星を見上げる度、ヒョンニムのことを思い出し、その度に、恋しくて、泣いていた。
どんなに泣いても、帰りたいと思っても、自分が言い出したことだから、中途半端のまま、帰るわけにはいかないと、ヒョンニムにもらった、星のネックレスを握り締め、自分を奮い立たせた。
それでも、少しずつ、環境に慣れてきて、ボランティアスタッフの人たちとも話せるようになったし、子供たちとも、コミュニケーションがとれるようになった。
英語も、日常会話なら、難なく話せるようになっていた。
そして、ようやく1年のボランティアの期間が終了し、私は、韓国へと帰国することになった。
★★★★