『happiness』
短編
「チルソクの願い事」
今日は、七夕(チルソク)。
ミニョは、子どもたちと一緒に、ベランダにいた。
ベランダには、韓国の七夕の風習にはない、笹の枝が飾ってあった。
先日、テギョンが、日本にプロモーションに行ったとき、日本の七夕飾りを目にし、一緒に同行していた通訳さんに、話を聞き、子どもたちが喜ぶと思い、テギョンは、帰国すると、早速、準備をはじめた。笹は、マ室長に調達するように頼み、いや、命令し、自宅へ届けさせた。
ミニョは、色紙を用意して、ユエとソラと一緒に、星や月などを色紙で作り、短冊に願い事を書き、笹に飾った。
しかし、天気は、生憎の曇り空。
「ねぇ、ママ、星、見えないねぇ?」
ユエが、夜空を見上げている。
「そうね・・・ねぇ、ソラは、何をお願いしたの?」
最近、幼稚園で字を習いはじめたユエは、自分で、短冊に願い事を書いた。
「ピアノが、もっと、上手になりますように!!あと、ミナムお兄ちゃんのとこの赤ちゃんが、早く生まれますように!!」
やっぱり、テギョンの息子だけあり、音楽や楽器にも興味を持ちはじめ、最近、ピアノを習いはじめた。
ちなみに、ミナムとヘイが、最近、結婚をした。所謂、「デキちゃった婚」で、今、ヘイのお腹の中には、ふたつの生命が宿っている。
「ソラは、何をお願いしたんだっけ?」
「アリエルになるの~!!」
「アリエル」とは、ソラの大好きなアニメ映画の人魚の主人公のこと。
ユエの真似をして、ゴニョゴニョした字で、ソラも、一生懸命、短冊に願い事を書いた。
「ねぇ?ママは、なんて、書いたの?」
「みんなが、幸せで、健康に暮らせますように・・・。ユエとソラが、良い子で、いてくれますように・・・」
「えぇぇ!!ボクたち、良い子だよね!!ねぇ、ソラ?」
口を尖らすユエと、同じように、プクッと頬を膨らますソラ。
「あら、そうだったわね、ふたりとも、とっても良い子だったわね、ごめんね。
さぁ、良い子さんたち、そろそろ、寝る時間よ、ベッドに入りなさい。」
ミニョが、ふたりを、ベッドの中に入れる。
「ねぇ、ママ、本読んで」
ミニョが、ふたりの間に入り、本を開くと、ゆっくりとした声で、読み聞かせる。
本を一冊読み終える頃、ふたりは、もう夢の中にいた。
ふたりの額にキスをして、静かにベッドから抜け出す。
テギョンからは、今日は、遅くなると連絡があり、ミニョは、片付けなどを済ませると、ベッドの中に入った。
深夜、テギョンが、帰ってくる。
子ども部屋に入り、いつものように、ただいまのキスをする。ベランダに飾ってある七夕飾りを見つけると、願い事の書いてある短冊を、一枚、一枚、手に取り、時折、小さく笑いながら、見ていた。
テギョンも、ペンを取り、短冊に、サラサラと書いた。
翌朝、ミニョが起きると、テギョンが、帰っていることに気付く。
起こさないように、そっと、ベッドから抜け出し、朝食の準備をする。
いつものように、慌ただしい朝の時間。
子どもたちを起こす時間になり、子ども部屋に向かう。
「ユエ、ソラ、朝よ。起きなさい」
ふたりを、優しく揺り起こす。
ふたりが起き、着替えをさせ、幼稚園の準備をし、朝ごはんを食べさせる。
「ねぇ、パパは?」
「帰ってきてるわよ。疲れているみたいだから、もう少し、寝かせてあげてね」
すると、テギョンが、まだ、眠そうに、欠伸をしながら、キッチンに入ってくる。
「・・・おはよう」
「あっ、パパ、おはよう」
「パパぁ!!」
「おはようございます。まだ、寝ててもいいんですよ?」
ミニョが、冷蔵庫から、水のペットボトルを取り出し、心配そうな顔で、テギョンに手渡す。
「ん?大丈夫だ。今日、オレが、幼稚園、連れて行く。ユエ、行くぞ」
「は~い」
テギョンは、ソラを抱っこすると、玄関に向かう。
車の荷台に積んである、ふたつのチャイルドシートをセットし、ふたりを乗せる。
「いってらっしゃい」
ミニョが見送り、洗濯を干すため、ベランダに向かう。
「あっ、七夕、昨日で、終わってたわね」
七夕飾りを見つけ、片付けようとすると、一枚の短冊が目に入った。
『家族との時間が、もっと、多くとれますように。』
そして、小さな字で、
『ミニョとの時間が、もっと、欲しい!!』
ミニョが、クスリと笑う。
それは、テギョンの七夕の願い事だった。
☆★★☆
久々の「happiness」編
ユエとソラが、少し、大きくなりました。
あと、ミナム&ヘイが結婚したりと、変化もあり・・・また、「happiness」編も短編でいろんなハナシを書けたらいいなと思ってます。
短編
「チルソクの願い事」
今日は、七夕(チルソク)。
ミニョは、子どもたちと一緒に、ベランダにいた。
ベランダには、韓国の七夕の風習にはない、笹の枝が飾ってあった。
先日、テギョンが、日本にプロモーションに行ったとき、日本の七夕飾りを目にし、一緒に同行していた通訳さんに、話を聞き、子どもたちが喜ぶと思い、テギョンは、帰国すると、早速、準備をはじめた。笹は、マ室長に調達するように頼み、いや、命令し、自宅へ届けさせた。
ミニョは、色紙を用意して、ユエとソラと一緒に、星や月などを色紙で作り、短冊に願い事を書き、笹に飾った。
しかし、天気は、生憎の曇り空。
「ねぇ、ママ、星、見えないねぇ?」
ユエが、夜空を見上げている。
「そうね・・・ねぇ、ソラは、何をお願いしたの?」
最近、幼稚園で字を習いはじめたユエは、自分で、短冊に願い事を書いた。
「ピアノが、もっと、上手になりますように!!あと、ミナムお兄ちゃんのとこの赤ちゃんが、早く生まれますように!!」
やっぱり、テギョンの息子だけあり、音楽や楽器にも興味を持ちはじめ、最近、ピアノを習いはじめた。
ちなみに、ミナムとヘイが、最近、結婚をした。所謂、「デキちゃった婚」で、今、ヘイのお腹の中には、ふたつの生命が宿っている。
「ソラは、何をお願いしたんだっけ?」
「アリエルになるの~!!」
「アリエル」とは、ソラの大好きなアニメ映画の人魚の主人公のこと。
ユエの真似をして、ゴニョゴニョした字で、ソラも、一生懸命、短冊に願い事を書いた。
「ねぇ?ママは、なんて、書いたの?」
「みんなが、幸せで、健康に暮らせますように・・・。ユエとソラが、良い子で、いてくれますように・・・」
「えぇぇ!!ボクたち、良い子だよね!!ねぇ、ソラ?」
口を尖らすユエと、同じように、プクッと頬を膨らますソラ。
「あら、そうだったわね、ふたりとも、とっても良い子だったわね、ごめんね。
さぁ、良い子さんたち、そろそろ、寝る時間よ、ベッドに入りなさい。」
ミニョが、ふたりを、ベッドの中に入れる。
「ねぇ、ママ、本読んで」
ミニョが、ふたりの間に入り、本を開くと、ゆっくりとした声で、読み聞かせる。
本を一冊読み終える頃、ふたりは、もう夢の中にいた。
ふたりの額にキスをして、静かにベッドから抜け出す。
テギョンからは、今日は、遅くなると連絡があり、ミニョは、片付けなどを済ませると、ベッドの中に入った。
深夜、テギョンが、帰ってくる。
子ども部屋に入り、いつものように、ただいまのキスをする。ベランダに飾ってある七夕飾りを見つけると、願い事の書いてある短冊を、一枚、一枚、手に取り、時折、小さく笑いながら、見ていた。
テギョンも、ペンを取り、短冊に、サラサラと書いた。
翌朝、ミニョが起きると、テギョンが、帰っていることに気付く。
起こさないように、そっと、ベッドから抜け出し、朝食の準備をする。
いつものように、慌ただしい朝の時間。
子どもたちを起こす時間になり、子ども部屋に向かう。
「ユエ、ソラ、朝よ。起きなさい」
ふたりを、優しく揺り起こす。
ふたりが起き、着替えをさせ、幼稚園の準備をし、朝ごはんを食べさせる。
「ねぇ、パパは?」
「帰ってきてるわよ。疲れているみたいだから、もう少し、寝かせてあげてね」
すると、テギョンが、まだ、眠そうに、欠伸をしながら、キッチンに入ってくる。
「・・・おはよう」
「あっ、パパ、おはよう」
「パパぁ!!」
「おはようございます。まだ、寝ててもいいんですよ?」
ミニョが、冷蔵庫から、水のペットボトルを取り出し、心配そうな顔で、テギョンに手渡す。
「ん?大丈夫だ。今日、オレが、幼稚園、連れて行く。ユエ、行くぞ」
「は~い」
テギョンは、ソラを抱っこすると、玄関に向かう。
車の荷台に積んである、ふたつのチャイルドシートをセットし、ふたりを乗せる。
「いってらっしゃい」
ミニョが見送り、洗濯を干すため、ベランダに向かう。
「あっ、七夕、昨日で、終わってたわね」
七夕飾りを見つけ、片付けようとすると、一枚の短冊が目に入った。
『家族との時間が、もっと、多くとれますように。』
そして、小さな字で、
『ミニョとの時間が、もっと、欲しい!!』
ミニョが、クスリと笑う。
それは、テギョンの七夕の願い事だった。
☆★★☆
久々の「happiness」編
ユエとソラが、少し、大きくなりました。
あと、ミナム&ヘイが結婚したりと、変化もあり・・・また、「happiness」編も短編でいろんなハナシを書けたらいいなと思ってます。