美男2
「息子の成長」
*147*
「ミニョさんと一緒にいると言うことは、仲良くやっているようね、テギョン・・・」
ふたりを見つめながら、優雅な所作で、お茶を飲むファラン。
テギョンは、何も言葉を話さないまま、口を閉ざし、ファランを避けるように、視線を揺らしていた。
会話が続かず、お互い、黙ってしまう。
「あ、あの、ファランさん、お身体の具合は、いかがですか?」
心配そうに、テギョンを見つめていたミニョが、緊張した声で、ファランに話し掛ける。
「ありがとう。大丈夫よ。ただ、色々と、精密検査をしてもらったら、良くないところも見つかっているのよ・・・。」
テギョンが、ハッとしたように、ファランを見つめる。
「大丈夫よ、心配しないで。大したものではないわ。アルコールの過剰摂取で、肝臓の働きが弱くなってしまって、今は、その治療に専念中よ。今の生活は、苦でもないし、穏やかに暮らしているわ。食事の準備が整ったようね。ふたりとも、あちらで、お食事にしない?」
違うテーブルには、ルームサービスで運ばれてきた食事が並べられていた。
椅子に腰掛けると、目の前に並べられている料理を、ミニョは、何の疑いもなく、「いただきます」と、食べはじめる。
テギョンは、少し、躊躇っているのか、料理に、手をつけないでいた。
「テギョン、大丈夫よ。あなたには、特別メニューで、作ってもらったの。ごめんなさいね、私、あなたのアレルギーすべてを把握することが出来ていないから・・・あなたには、辛い思いをさせてしまったわね・・・」
言葉を詰まらせ、涙を流し、テギョンに詫びるファランの姿。
子どもの頃、どんなときでも、美しく、自分の好き勝手にしていた母の姿が、今の、テギョンには、弱々しく見えていた。
「・・・美味しいです」
テギョンが、ボソッと、小さな声で話す。
「そう・・・良かったわ」
ファランが、安心したように笑顔を見せる。
「ねぇ、テギョン、実は、私、芸能界を引退しようと思うの・・・あなたさえ良ければ、親子だと言うこと公表しようかと、考えているの。私には、もう、芸能界に必要な人間でもないし、失うモノもないわ。ただ、今、芸能界の一線で、活躍するあなたには、迷惑をかけたくないから、このことは、あなたに任せようと思うの。別に、公表する無理強いはしないわ。
ただ、あなたが、私のことを、今でも、母親だと思っていてくれるのなら・・・嬉しいのだけど。」
口をつぐむテギョンに、ファランは、そっと、諦めたように、小さなため息を吐いた。
"やっぱり、無理よね"
「・・・今日、ココに来たのは、貴女に、ミニョと結婚することを報告する為に、来ました。世間には、ミニョが、コ・ミナムの双子の妹だと知られています。
もし、貴女とオレが、親子だとわかれば、記者たちは、色々と、ネタを探しに、嗅ぎ回ります。
コ・ジェヒョンssiのことも、きっと、突き止められます。貴女との関係やコ・ジェヒョンssiの子どもたちのことも・・・・・。そういうことになれば、ミニョが、また、傷付き、コイツのことだから、きっと、オレのことを考えて、オレのそばから離れていきます。
オレは、ミニョを、そのことで傷付けたくないし、もう二度と、手離したくないです。
過去を振り返ることより、今を、大事にしたいです。
すみませんが、理解してください。お願いします。
ただ、オレが、信頼出来る人間には、貴女が、母親であることを、伝えようと思います。それで、いいですか?・・・・・母さん」
意志が強く、真っ直ぐと、自分を見つめるテギョンに、ファランは、溢れる涙を止めることが出来なかった。
息子が、大事なヒトを守ろうとする強さと優しさに、本当に、大きく、立派に成長していたことに、感動して、ファランは、嗚咽が漏れる口元を手で抑えながら、何度も、頷いていた。
★★★★
「息子の成長」
*147*
「ミニョさんと一緒にいると言うことは、仲良くやっているようね、テギョン・・・」
ふたりを見つめながら、優雅な所作で、お茶を飲むファラン。
テギョンは、何も言葉を話さないまま、口を閉ざし、ファランを避けるように、視線を揺らしていた。
会話が続かず、お互い、黙ってしまう。
「あ、あの、ファランさん、お身体の具合は、いかがですか?」
心配そうに、テギョンを見つめていたミニョが、緊張した声で、ファランに話し掛ける。
「ありがとう。大丈夫よ。ただ、色々と、精密検査をしてもらったら、良くないところも見つかっているのよ・・・。」
テギョンが、ハッとしたように、ファランを見つめる。
「大丈夫よ、心配しないで。大したものではないわ。アルコールの過剰摂取で、肝臓の働きが弱くなってしまって、今は、その治療に専念中よ。今の生活は、苦でもないし、穏やかに暮らしているわ。食事の準備が整ったようね。ふたりとも、あちらで、お食事にしない?」
違うテーブルには、ルームサービスで運ばれてきた食事が並べられていた。
椅子に腰掛けると、目の前に並べられている料理を、ミニョは、何の疑いもなく、「いただきます」と、食べはじめる。
テギョンは、少し、躊躇っているのか、料理に、手をつけないでいた。
「テギョン、大丈夫よ。あなたには、特別メニューで、作ってもらったの。ごめんなさいね、私、あなたのアレルギーすべてを把握することが出来ていないから・・・あなたには、辛い思いをさせてしまったわね・・・」
言葉を詰まらせ、涙を流し、テギョンに詫びるファランの姿。
子どもの頃、どんなときでも、美しく、自分の好き勝手にしていた母の姿が、今の、テギョンには、弱々しく見えていた。
「・・・美味しいです」
テギョンが、ボソッと、小さな声で話す。
「そう・・・良かったわ」
ファランが、安心したように笑顔を見せる。
「ねぇ、テギョン、実は、私、芸能界を引退しようと思うの・・・あなたさえ良ければ、親子だと言うこと公表しようかと、考えているの。私には、もう、芸能界に必要な人間でもないし、失うモノもないわ。ただ、今、芸能界の一線で、活躍するあなたには、迷惑をかけたくないから、このことは、あなたに任せようと思うの。別に、公表する無理強いはしないわ。
ただ、あなたが、私のことを、今でも、母親だと思っていてくれるのなら・・・嬉しいのだけど。」
口をつぐむテギョンに、ファランは、そっと、諦めたように、小さなため息を吐いた。
"やっぱり、無理よね"
「・・・今日、ココに来たのは、貴女に、ミニョと結婚することを報告する為に、来ました。世間には、ミニョが、コ・ミナムの双子の妹だと知られています。
もし、貴女とオレが、親子だとわかれば、記者たちは、色々と、ネタを探しに、嗅ぎ回ります。
コ・ジェヒョンssiのことも、きっと、突き止められます。貴女との関係やコ・ジェヒョンssiの子どもたちのことも・・・・・。そういうことになれば、ミニョが、また、傷付き、コイツのことだから、きっと、オレのことを考えて、オレのそばから離れていきます。
オレは、ミニョを、そのことで傷付けたくないし、もう二度と、手離したくないです。
過去を振り返ることより、今を、大事にしたいです。
すみませんが、理解してください。お願いします。
ただ、オレが、信頼出来る人間には、貴女が、母親であることを、伝えようと思います。それで、いいですか?・・・・・母さん」
意志が強く、真っ直ぐと、自分を見つめるテギョンに、ファランは、溢れる涙を止めることが出来なかった。
息子が、大事なヒトを守ろうとする強さと優しさに、本当に、大きく、立派に成長していたことに、感動して、ファランは、嗚咽が漏れる口元を手で抑えながら、何度も、頷いていた。
★★★★