美男2
「母との再会」
*146*
久々に、ファランに会うことになった、ふたり。
テギョンが、ミニョのマンションまで迎えに行くと、やっぱり、緊張しているのか、顔が、強ばっているミニョがいた。
掛ける声も見つからなくて、車の中、ふたりとも黙ったまま、ニックスホテルに着いてしまう。
フロントで、ファランの部屋を聞き、エレベーターに乗る。
ふたりきりのエレベーター。どちらとも、緊張しているのか、やっぱり、言葉はなく、上へと上がっていく光る階数を見上げていた。
ファランがいる階に着き、エレベーターを降りる。
ふと、テギョンが、ミニョを見る。俯いたままで、表情は見えないが、前に組んだ両手をギュッと握りしめていた。
よく見ると、小さな手が、小刻みに震えている。
テギョンは、ミニョの手を取ると、指を絡ませ、握り締めた。
「・・・大丈夫か?」
コクンと頷くミニョ。
テギョンは、ミニョの手を握り締めたまま、廊下を歩く。
部屋の前、テギョンは、一度、深呼吸をすると、扉をノックした。
「どうぞ」
扉を開け、部屋に足を踏み入れると、ふたりを迎え入れる、ファランの姿が現れた。
ゆったりとしたロングドレスを身に纏い、長い髪をかきあげる。
病気のせいか、だいぶ、痩せたのが、目に見えて、わかる。
それでも、生まれ持った美貌は衰えておらず、微かな笑みを口元に浮かべていた。
「久しぶりね、テギョン」
落ち着いたファランの声。
「お久しぶりです・・・。」
テギョンが、頭を下げる。まだ、自分に対し、他人行儀のテギョン。自分のことを「母さん」と呼んでくれないことに、ファランは、少し、淋しそうな笑みを浮かべる。
そして、テギョンの後ろにいるミニョに、目を向ける。
「あなた、コ・ミニョさんね」
以前とは違う、優しい笑みをミニョに向ける。
「・・・はい。お久しぶりです。ファランさん」
ミニョの声が、微かに震え、深々と頭を下げた。
「ふたりとも、座って」
ファランは、ふたりをソファーに座らせ、マネージャーにお茶の用意をさせた。
お互い、言葉が見つからなく、黙ってしまう。
ソファーに座っても、ミニョの手を離さないテギョンに気付き、ファランが、柔らかな笑みを浮かべる。
"テギョン、あなたは、私みたいに、大切なものを失って、後悔しなかったようね・・・。大切なものを捨てさせるのは、愛では、ないものね"
自分の息子が、愛を知り、愛を与え、幸せでいてくれたことを、ファランは、母親として、初めて、幸せに感じていた。
☆★☆★
「母との再会」
*146*
久々に、ファランに会うことになった、ふたり。
テギョンが、ミニョのマンションまで迎えに行くと、やっぱり、緊張しているのか、顔が、強ばっているミニョがいた。
掛ける声も見つからなくて、車の中、ふたりとも黙ったまま、ニックスホテルに着いてしまう。
フロントで、ファランの部屋を聞き、エレベーターに乗る。
ふたりきりのエレベーター。どちらとも、緊張しているのか、やっぱり、言葉はなく、上へと上がっていく光る階数を見上げていた。
ファランがいる階に着き、エレベーターを降りる。
ふと、テギョンが、ミニョを見る。俯いたままで、表情は見えないが、前に組んだ両手をギュッと握りしめていた。
よく見ると、小さな手が、小刻みに震えている。
テギョンは、ミニョの手を取ると、指を絡ませ、握り締めた。
「・・・大丈夫か?」
コクンと頷くミニョ。
テギョンは、ミニョの手を握り締めたまま、廊下を歩く。
部屋の前、テギョンは、一度、深呼吸をすると、扉をノックした。
「どうぞ」
扉を開け、部屋に足を踏み入れると、ふたりを迎え入れる、ファランの姿が現れた。
ゆったりとしたロングドレスを身に纏い、長い髪をかきあげる。
病気のせいか、だいぶ、痩せたのが、目に見えて、わかる。
それでも、生まれ持った美貌は衰えておらず、微かな笑みを口元に浮かべていた。
「久しぶりね、テギョン」
落ち着いたファランの声。
「お久しぶりです・・・。」
テギョンが、頭を下げる。まだ、自分に対し、他人行儀のテギョン。自分のことを「母さん」と呼んでくれないことに、ファランは、少し、淋しそうな笑みを浮かべる。
そして、テギョンの後ろにいるミニョに、目を向ける。
「あなた、コ・ミニョさんね」
以前とは違う、優しい笑みをミニョに向ける。
「・・・はい。お久しぶりです。ファランさん」
ミニョの声が、微かに震え、深々と頭を下げた。
「ふたりとも、座って」
ファランは、ふたりをソファーに座らせ、マネージャーにお茶の用意をさせた。
お互い、言葉が見つからなく、黙ってしまう。
ソファーに座っても、ミニョの手を離さないテギョンに気付き、ファランが、柔らかな笑みを浮かべる。
"テギョン、あなたは、私みたいに、大切なものを失って、後悔しなかったようね・・・。大切なものを捨てさせるのは、愛では、ないものね"
自分の息子が、愛を知り、愛を与え、幸せでいてくれたことを、ファランは、母親として、初めて、幸せに感じていた。
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