美男2

「大丈夫」

*145*


イベント事が多い、12月になり、A.N.JELLはもちろんのこと、ミニョのボランティア仕事も忙しく、婚約したにも関わらず、住む場所も別々で、相変わらず、会えない日々を送っていた。
それでも、お互い、メールや電話は欠かさずに、距離を保っていた。

そして、テギョンは、韓国に一時帰国する、母親のモ・ファランのマネージャーを通して、母に会う決心をし、連絡をしていた。

『12月20日から1月2日まで、韓国に滞在します。滞在先は、ニックスホテルです。』

ファランのマネージャーからのメールを受け取り、テギョンは、ミニョに、電話をする。
ミニョのことを考えると、心が重苦しくなるのを、感じる。

『もしもし・・・?オッパ、どうされましたか?』

いつもと変わらないミニョの声。

「・・・ミニョ、お前に会わせたいヒトが、いるんだ・・・」

『どなたですか?』

「・・・オレの母親だ」

『・・・・・』

何も話さないミニョ。

"やっぱりな・・・"

「ごめん・・・やっぱり、会いたくないよな・・・」

・・・これまでの事を考えれば、ミニョは、母親に会いたくないハズだ。「テギョンさんのお母さんのことが、とても憎いです」とも、言っていた。これ以上、ミニョに、深い傷を付けたくなかった。

でも、ミニョは・・・

『会います。・・・会わせてください。』

迷いのない、凛とした、真っ直ぐな声。

「・・・いいのか?無理しなくても、いいんだぞ・・・オレが、ひとりで行って、話をつけてくるから・・・」

『・・・大丈夫ですよ。オッパと一緒だから、大丈夫です。だから、一緒に、行きます。連れて行ってください。』

ミニョの明るい声が、テギョンの心を軽くする。

「・・・わかった。日時は、また、連絡する」

テギョンにも、まだ、少しだけ、躊躇いが残っていたが、ミニョの声に、背中を押してくれている気がした。

"・・・大丈夫だ。オレも、お前と一緒なら、会いに行ける。"



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