美男2
「どうしよう」
*105*
気が付けば、窓から、夕陽が射し込んでいた。
日記を読み終わっても、涙が止まらない。お母さんの無念さや辛さが、胸が痛いほど、突き刺さる。
どんなに、真実を知った今でも、お母さんを思うと、辛かった。お母さんは、真実を知ることなく、死んでしまったから…。
日記を抱え、泣き続けていた。
「その箱は、持っていきな」
床に座り込んで、ボロボロに泣いてしまった私の背中を叩きながら、おばさんが言った。
「ミジャおばさん、ありがとうございます、お邪魔しました…」
まだ、溢れ落ちる涙を、手で拭いながら、私は、おばさんに、お礼を言い、箱を抱え、マンションに帰った。
リビングのソファーに座り、改めて、箱を開ける。
お母さんの日記や私たちのアルバム以外にも、お父さんの作詞ノートや手帳、病院からの封書や書類が入っていた。
お父さんの作詞ノートには、色々な言葉が綴られていた。ほとんどが初めて見る歌詞ばかり。
パラパラとページを捲っていくと、一番最後のページに、見慣れた歌詞があった。
「どうしよう」
一歩、あなたを見送るたびに、涙が出る
一歩、あなたが離れるたびに、また、涙があふれる
手を伸ばしても、手を差し出しても、届かない場所へ
あなたが行ってしまうのに、引き止められず
泣いてばかりの私
どうしよう、どうしよう
あなたが、行ってしまう
どうしよう、どうしよう
私を置いて行ってしまう
愛してる、愛してる
泣いて叫んでも
あなたには、届かない
心の中の叫びだから
自分の元を去っていく恋人に、戻ってきてほしいと、哀願する…お父さんが、お母さんのために書いた歌だった。
でも、お母さんが、この歌を聴き、お父さんの元に戻ってくることはなかった。
★☆★☆
「どうしよう」
*105*
気が付けば、窓から、夕陽が射し込んでいた。
日記を読み終わっても、涙が止まらない。お母さんの無念さや辛さが、胸が痛いほど、突き刺さる。
どんなに、真実を知った今でも、お母さんを思うと、辛かった。お母さんは、真実を知ることなく、死んでしまったから…。
日記を抱え、泣き続けていた。
「その箱は、持っていきな」
床に座り込んで、ボロボロに泣いてしまった私の背中を叩きながら、おばさんが言った。
「ミジャおばさん、ありがとうございます、お邪魔しました…」
まだ、溢れ落ちる涙を、手で拭いながら、私は、おばさんに、お礼を言い、箱を抱え、マンションに帰った。
リビングのソファーに座り、改めて、箱を開ける。
お母さんの日記や私たちのアルバム以外にも、お父さんの作詞ノートや手帳、病院からの封書や書類が入っていた。
お父さんの作詞ノートには、色々な言葉が綴られていた。ほとんどが初めて見る歌詞ばかり。
パラパラとページを捲っていくと、一番最後のページに、見慣れた歌詞があった。
「どうしよう」
一歩、あなたを見送るたびに、涙が出る
一歩、あなたが離れるたびに、また、涙があふれる
手を伸ばしても、手を差し出しても、届かない場所へ
あなたが行ってしまうのに、引き止められず
泣いてばかりの私
どうしよう、どうしよう
あなたが、行ってしまう
どうしよう、どうしよう
私を置いて行ってしまう
愛してる、愛してる
泣いて叫んでも
あなたには、届かない
心の中の叫びだから
自分の元を去っていく恋人に、戻ってきてほしいと、哀願する…お父さんが、お母さんのために書いた歌だった。
でも、お母さんが、この歌を聴き、お父さんの元に戻ってくることはなかった。
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