美男2

「過去の追憶」

*104*


ミジャおばさん家の物置部屋で、時間を忘れ、私は、床に座り込み、涙を溢しながら、お母さんの日記を読み更けていた。

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〇月×日

昨年の冬に、母を亡くした私に、新しい家族が出来た。その新しい家族が、今、私のお腹の中に宿っている。しかも、ふたつも授かった、大事な、大事な生命。ジェヒョンさんは、喜んでくれるかしら…?

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〇月△日

ジェヒョンさんは、驚きながらも、私の手を取って、喜んでくれた。
「スジン、キミを愛している。結婚しよう。そして、幸せな家庭をつくろう」
「はい、私も、愛しています」
私は、嬉し涙を流しながら、プロポーズを受けた。

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△月〇日

モ・ファラン先輩に会った。目の前で見ても、本当に、美しい女性だった。
その女性が言った。
「ねぇ、お願いがあるの。ジェヒョンさんと別れてくれないかしら?彼は、あなたより、私のことを、愛してくれているの。」
……信じられなかった。だから、すぐに、否定をした。
「……そんなの嘘です。ジェヒョンさんは、私を愛してくれています。プロポーズもしてくれました。だから、あなたの愛は、本当の愛ではありません」

私は、震える手で、お腹に宿る、ジェヒョンさんとの愛の結晶に触れていた。

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△月×日

ファラン先輩が、テレビで、彼が作った歌を歌っている。
「この歌は、私が、心から愛する曲なんです。」
美しい笑みを浮かべながら、そう話す。
私は、お腹に宿った生命を守るため、歌手の夢を諦めた。私が諦めたことを、彼女が、堂々と出来ることが、羨ましくも、妬ましくも思った。
そして、彼女が、彼の歌を歌う度に、彼女が言ったことは、本当ではないかと思ってしまう。
疑いたくないのに、彼を疑ってしまう。
顔を合わせば、言いたくないことを、口にしてしまう。
彼を信じられず、傷つけてしまう、自分が嫌になってしまった。
だから、私は、決めた。彼の前から、姿を消そう。

……大丈夫、私には、あなたたちがいる。



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