「美男2」

「ひとりの人間として、ひとりの男として」

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後日、テギョンが、ひとりで、事務所内で、記者会見を行う。
その記者会見場には、ガインとの記事を書いた、キム記者、チョン記者の姿もあった。
テギョンは、堂々としたもので、全く、動じていなかった。

「ファン・テギョンssi、先日のクリス・チャンssiのパーティー会場に、一緒にいた女性は、一体、どなたなのでしょうか?」

「パーティー会場で、一緒にいたのは、正真正銘、オレの彼女です。」

「テギョンssiが、お付き合いされている女性は、確か、一般人の方ですよね。なぜ、今回、公の場に…?まさか、ご結婚が近いとか…」

「今回、公の場に、一緒に現れた、一番の理由は、チェ・ガインssiとの記事があったからですね。その心ない記事で、彼女が、深く傷つきました。オレも、色々と、事実無根の記事を書かれてしまい、傷つきました。オレにとって、彼女の存在は、とても大きく、必要不可欠な存在です。失いたくもありません。だから、お願いです。これ以上、彼女を傷つけるようなことはしないでください。」

テギョンは、深く頭を下げる。
記者たちは、驚いていた。A.N.JELLのファン・テギョンと言えば、威厳と傲慢さを持つ、誰もが憧れるカリスマのような存在で、人間らしさがないようにも感じられていた。
そのファン・テギョンが、ひとりの人間として、ひとりの男として、たったひとりの愛する女性のために、頭を下げている姿は、感慨深いものがあった。

「以上で、記者会見を終わらせていただきます。ありがとうございました。」

アン社長が、会見を締め、まだ、頭を下げているテギョンの肩を叩き、会見場を後にした。

「テギョン、パーフェクト!!グッドジョブ!!感動した!!記者たちも、お前の姿を見て、感動してたぞ。これは、いい記事が期待出来る。それに、ファンたちも、感動する」

社長室で、満足そうに、高笑いをするアン社長。

「当たり前だ。アイツのためだったら、なんでも、してやる。」

アン社長が、面食らったように、目を丸くしている。

「テギョン、そ、そんなに、ミニョさんのことを愛しているのか…?」

「当たり前だろ」

なんのこともないと、あっさりと答えるテギョン。

「テギョン、お前、大人になったなぁ……」

人との関わりを嫌い、音楽しか興味がなかったひとりの少年が、今は、ひとりの女性を愛する、立派な青年に成長していたことに、アン社長は、父親のような目線で、改めて、感動していた。



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