「美男2」

「もうひとつのカップル」

*89*


「ねぇ!!ちょっと!!コ・ミナム!!聞いてるの!!」

差し入れのアイスクリームを夢中で食べるミナムの前で、仁王立ちをして、頬を膨らませ、怒っているユ・ヘイ。
先ほど、交際宣言の記者会見を終えたばかりで、ふたりは、控え室にいた。

「聞いてるよ~」

「何よ、その態度。ホント、ムカつく。」

「あのさ、怒ってる顔もかわいいけど、皺が増えるよ」

「コ・ミナム!!」

「はいはい、悪かったって。ほら、アイスあげるから、機嫌直せよ」

「……いらない」

アイスをスプーンで掬い上げ、ヘイの口元に運ぶが、フイッと、顔を背けてしまうヘイ。
ミナムは、小さくため息を吐くと、アイスの容器をテーブルに置くと、ヘイの前に立つ。
ヒールを履いたヘイより、身長が低いミナム。
手を伸ばし、そっぽを向いてしまったヘイの頬に、両手を添え、自分の方へ向ける。

「ヘイ」

"なんで、よりによって、自分より年下で、自分より背が低い、こんな男を選んじゃったんだろ……。"

ヘイが、口を尖らしながら、ミナムを見ている。

「ヘイ、好きだよ」

ニッコリと、屈託なく笑うミナム。

「ふん……当たり前よ」

それでも、まんざらでもない様子のヘイ。

"でも、どうしてだか、好きになっちゃったんだから、仕方ないわよね……"

『オレは、好きだよ。ワガママなところも、ハッキリと物を言うところも、すぐに、膨れっ面になるところも、"みんなの妖精"をしているときよりも、ずっと、かわいいと思うよ。まぁ、素直になってくれれば、もっと、かわいいんだけど……』

一言、余分だったけど、それでも、素の自分が好きだと言ってくれるのは、嬉しかった。
それに、かわいい顔して、結構、男気があるし、頼りにもなるのよね。

「ねぇ、浮気したら、ただじゃ、おかないから」

「わかってるって。ねぇ、キスしてもいい?」

「そ、そんなこと、いちいち、聞かないで!!」

頬を赤く染めて、恥じらうヘイ。

「ホント、かわいいな。」

ミナムは、楽しそうに笑いながら、ヘイに、キスをした。

楽しそうなミナムと、まんざらでもないヘイ。
ふたりの関係も今、ようやく、はじまったばかりである…。



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