「美男2」

「諦めきれない」

*78*


「ミ、ミニョ、なの…?」

ミニョは、名前を呼ばれ、顔を上げた。
そこには、よく知っている顔があった。

「……ミヌ?」

「えっ、うん、そ、そうだけど…あ、で、でも、ど、どうして、ミニョが、ココにいるの…?」

ミヌは、ミニョに見惚れてしまい、思うように、言葉に出来ず、どもってしまう。
目の大きさが強調されたアイメイク、ふっくらとした唇には、ピンク色のグロスを塗っている。白い肩やデコルテを露出したベアトップドレス姿は、いつものミニョからは、想像が出来ないほどに、色香を纏っていた。

「あ、それは……」

ミニョが、どう、答えようか、と悩んでしまい、口をつぐんでしまう。

「あっ、そっか、そう言えば、A.N.JELLのメンバーも招待されてたんだよな…でも、メンバーたちの姿が見えないけど……」

「今、写真撮影に……」

「へぇ…クリス・チャンssiの元に呼ばれたんだ。ふーん、やっぱり、スゴいんだな…A.N.JELLって…。そうだ、ミニョ、なんか、飲み物、持ってくるよ。待ってて」

「ありがとう」

ミニョが、やっと、笑顔を見せる。ずっと、ひとりだけ、その場に、馴染めなく、ひとり、取り残されたように、寂しかったのが、ミヌのおかげで、薄らいでいた。

「やっぱ、馴れないよな。こういう、雰囲気。いかにも、セレブっていうか、お高い感じで。オレ、元々、庶民育ちだからさ。苦手なんだよ(笑)」

「ふふ、私も、なんか、遠い星の国にいるみたいで、ココは、キラキラと眩しく輝いていて、自分だけ、やっぱり、住む世界が違うのかなって…」

ミニョが、淋しそうに、微笑む。その目の先には、テギョンの姿があった。たくさんの人だかりで、顔は、よく見えなかった。

その、人だかりの前、たくさんのカメラの前では、テギョンが撮影をしていた。

A.N.JELLが、クリス・チャンを囲んで撮影をする。

「せっかく、美男美女が集まっているんだ、一緒に、撮影したら、どうだい?」

クリス・チャンが、カメラマンに指示する。
テギョンの隣には、ガインの姿があった。
ガインは、胸元に大胆なカッティングがされた紫のロングドレスを身に付けていた。
どぎつい香水のニオイに、テギョンが、少し、不機嫌そうに、顔を歪めるが、カメラの前に立っていることもあり、すぐに、ポーカーフェイスに戻した。

「ファン・テギョンssi、チェ・ガインssi、最近、おふたりに、熱愛の噂がありましたが…真相は…?」

噂のふたりがいることに、気づいた、記者たちが、容赦なく、質問をぶつける。

「テギョンオッパには、恋人がいるんですよね。実は、テギョンオッパは、私の初恋のヒトなんです。ずっと、好きで、諦めきれなくて…今回の噂は、私ひとりの責任です。オッパには、本当に、申し訳なくて……」

目に涙を溜めながら答えるガイン。

「ごめんね、テギョンオッパ。」

ギュッと、テギョンの腕に抱きつくガイン。
ガインの目線の先には、ミニョがいた。
見せつけるように、口角をあげると、テギョンに、身体を密着させた。



☆☆☆★