「チョコレートに、愛を込めて…」

*6*


ミニョも、テギョンに、いつ、チョコを渡すべきか、考えていた。

"やっぱり、ふたりきりの時に渡した方が、いいのかな…?"

「あ、あの、このあとって、まだ、お仕事、残っていますか?」

ミニョが、まだ、ムスッと、口を尖らしているテギョンに、怖々と、聞いてみる。

「おい、マ室長。用がなければ、帰るからな」

「あぁ、お疲れ。明日、午後から、音楽雑誌の取材が入ってるから、忘れるなよ!」

テギョンは、さっさと、練習室から出ていく。

「みなさん、お疲れ様でした。」

ミニョも、ペコリと頭を下げると、急いで、テギョンの後を追った。

「乗るなら、さっさと、乗れ」

駐車場まで追ってきたミニョを、車に乗せると、テギョンは、車を走らせた。
車内、どちらとも、喋らず、気まずい雰囲気のまま、テギョンは、ミニョが住むマンションに向かった。

「着いたぞ」

マンションの駐車場に、車を停める。

「…はい。あ、あの……」

ミニョが、大きな紙袋の中から、小さな紙袋を取り出した。

「甘いモノが、苦手なのは知っているんですが……」

ミニョが、恥ずかしそうに俯きながら、テギョンに紙袋を差し出す。

「お口に合うか、わかりませんが、良かったら、食べてみてください」

ミニョの顔が、真っ赤に染まっている。

「……仕方ない、いただいてやる。」

内心、すごく嬉しいのに、わざと、素っ気ないフリをしながら、テギョンが、紙袋を受け取った。
受け取ってもらい、ミニョが、ホッとしているのも、束の間、テギョンが、何かを思いついたように、ニヤリと笑う。

「食べた感想が聞きたいんだろ?今から、食べてやるから、部屋に行くぞ」

テギョンは、車から降りると、ミニョの部屋に向かった。
ミニョは、キッチンで、コーヒーを用意する。
テギョンは、リビングのソファーに座ると、紙袋から、箱を取り出し、丁寧に、ラッピングを剥がしていた。
箱を開けると、チョコレートケーキが入っていた。

「あっ、それ、温めると、美味しいんで、温めてきますね」

ミニョは、箱からケーキを取り出し、レンジで温める。

「どうぞ」

ミニョは、コーヒーと温めたケーキを差し出した。

テギョンが、ケーキをフォークで、半分に切ると、トロッと、中から、チョコレートが出てくる。

「フォンダンショコラです」

テギョンが、一口、食べる。

「どうですか?甘くならないように、ちょっと、お酒を加えてみたんです」

「ふ~ん、まぁ、上出来なんじゃないか」

「はぁぁ、良かったです。」

テギョンに褒められ、嬉しそうに、喜んでいるミニョ。
テギョンが、また、意地悪そうに、ニヤリと笑う。

「なぁ、今日は、愛を伝える日なんだろ?」

「あ、あ、はい……」

途端に、顔を真っ赤にさせ、目をキョロキョロさせているミニョ。

「言えよ、ちゃんと」

テギョンが、意地悪そうに、ミニョを見つめている。

「……オッパ……サランヘヨ」

ミニョが、恥ずかしそうに、目を潤ませながら、テギョンを、真っ直ぐ見つめ、囁くような、小さな声で言うと、ほんの一瞬だけ、掠めるように、ミニョの唇が、テギョンの唇に触れた。

ミニョは、恥ずかしそうに、俯いてしまう。

テギョンは、目を丸くして驚いていたが、すぐに、目を細めると、お返しとばかりに、ミニョの頭を引き寄せ、キスをした。

「サランへ、ミニョ」

また、テギョンが、ミニョにキスをする。

テギョンから、ほんのりとお酒の香りと甘いチョコレートの味がした。


『チョコレートに、愛を込めて…。
あなただけに、この愛を捧げます…。』


*Fin*


★★★★

teaの「美男ですね」-P1000005.JPG

フォンダンショコラ★
teaが作りましたぁ(゚∀゚)
でも、残念ながら、コレは、家族用ですけどね(笑)でも、上手に出来ましたよ♪