「チョコレートに、愛を込めて…」

*4*


「チョコレート♪チョコレート♪シスターからもらった、チョコレート♪」

スキップしながら、浮かれているマ室長が、メンバーがいる練習室に入っていく。
その手には、見せびらかすように、赤いリボンがついた小さな袋を持っている。

ジェルミ「あれ、マ室長。チョコレートもらったんだ。良かったね!」

マ室長「シスターにもらったんだ。」

ミナム「どうせ、ミニョのことだ。事務所内のスタッフに配った、そのうちの一個だろ?」

妹のことは、すべて、お見通しのミナム。

マ室長「それでも、チョコレートには違いない」

一個でも、嬉しそうに、自慢しているマ室長。

ジェルミ「あれ?ミニョ、来てるんでしょ?まだ、姿、見てないんだけど…」

マ室長「まだ、帰ってはないハズだが…」

シヌ「探しに行かなくて、いいのか、テギョン?」

テギョン「別に、アイツは、子どもじゃないんだ。探す必要は、ない」

ソファーに座っていたテギョンが、尖った口を左右に動かす。
そうは、言ったもの、やっぱり、気になるのか、テギョンが、ソファーから立ち上がり、練習室を出ていく。
寒空の下、テラスで、膝を抱え、小さく、うずくまっているミニョの姿を見つけたテギョンは、"アイツは、こんな場所で、何を、やっているんだ?"と、呆れながらも、ミニョの腕を掴み、引っ張りあげ、立たせた。

「きゃっ!!」

突然、強い力で手を掴まれ、引っ張り立たされたミニョは、声を上げながら、驚き、茫然と、テギョンを見上げていた。

「おい、こんなとこにいたら、風邪ひくだろ!!」

テギョンの怒っている声に、ミニョは、申し訳なさそうに、肩をすくませていた。
それでも、久々に見る、テギョンの顔に、久々に聞く、テギョンの声に、嬉しさを感じていた。



★★★★