「美男2」

「ドッキリ大作戦」

*66*


本来の目的(新居の下見)は、そっちのけで、ヘイに急かされるように、合宿所に帰ってきてしまった。

ミナムの手には、持ちきれないほどに、たくさんのショッピングバッグや箱が抱えられている。

「さぁ、先に、あなたが入るのよ」

ヘイの言葉に、頷きながら、緊張した面持ちで、玄関のドアを開けるミニョ。

「ただいま、帰りましたぁ」

「ミニョ~、おかえりぃ~♪」

バタバタと、廊下を走り、ジェルミが、玄関に向かう。

「えっ……コ・ミニョ……なの?」

ジェルミが、目を丸くしながら、ミニョの頭のてっぺんからつま先までを見る。何回か往復させているうちに、驚きの表情が消え、満面な笑みに変わる。

「ミニョ~、超~カワイイよぉ!!」

ミニョに抱きつこうとするジェルミ。ふと、ミニョの背後に、誰かがいることに気付く。

「うわぁ!!ユ・ヘイssi!!」

ジェルミが、飛び退く。

「ねぇ、ファン・テギョンは?」

「ヒョン…?えっ!?ま、まさか…(復縁!?)」

ジェルミが、勝手な想像をしてしまい、オロオロしながら、頬に手を当てている。

「うっ…重い…ジ、ジェルミ、そこにいるなら、助けてくれ……」

ヘイの後ろには、たくさんの荷物を持ち、今にも、崩れ落ちそうなミナムの姿があった。

「なんだよ!!騒々しいな!!」

テギョンが、不機嫌そうに口を尖らしながら、現れる。

「げっ!!嘘つき妖精!!今頃、何しに来た!!出てけ!!」

テギョンに怒鳴られようが、ヘイは、気にする様子もない。それどころか、余裕な笑みまで、見せている。

「ホント、相変わらず、ムカつくわね、アナタ。残念ね、私、もう、アナタなんかに、興味なんかないわよ。それより、もっと、見るとこが、他にあるでしょ?私が、美しすぎて、目に入ってしまうのは、仕方ないけど…」

ヘイの隣には、もじもじと、恥ずかしそうに、目を伏せているミニョ姿があった。
一瞬、誰だか、わからなく、テギョンが、首を傾げている。

「コ・ミニョ…なのか?」

恥ずかしそうに、コクリと頷く、ミニョ。

テギョンが、目を丸くさせながら、ミニョの頭のてっぺんからつま先までを、何度も往復させ、穴が開くくらいに見ている。

フワフワの髪、カールした長い睫毛、ピンク色の艶やかな唇、黒のジャケット、チェックのミニのワンピース、ショートブーツ。

朝、ミニョが出て行った格好と、全く違っていた。
この場に、ふたりきりだったら、ジェルミみたいに、抱きついていたかもしれない。
抱きつきたい衝動を抑えながらも、開いた口は塞がらず、呆然としているテギョン。
ヘイが、可笑しそうにクスクス笑っているのに、気付き、慌てて、口を閉じる。

「あら、あんたも、そんな顔するのね。」

ヘイに、からかわれ、ギロリと睨むテギョン。

「ふふふ…。このコ、結構、可愛いから、あんた、せいぜい、他の男に奪われないように、頑張ってね。ミニョ、これ、私の連絡先よ。また、一緒に、遊びましょ♪」

ヘイが、ヒラヒラと手を振り、帰っていく。



★★★★