「美男2」

「話をしよう」

*61*


寒そうに、胸の前に組んだ腕を擦るテギョン。
後ろをついてくるミニョを気にすることなく、部屋の中に入っていく。
ミニョは、"今度こそ、ちゃんと、話をしないと…"と、テギョンの背中を見つめ、意気込んではいたが、緊張の方が、勝っていた。テギョンの部屋に近付くにつれ、どんどん、落ち着かなくなる心臓の音…。部屋の前に立ち止まり、胸に手を当て、大きく深呼吸をしていた。

「ほら、入れよ」

なかなか、部屋の中に入ってこないミニョを、テギョンが、中に入るように促し、ミニョが、おずおずと、部屋に入る。バタンと閉まるドアの音さえ、ピクッと、驚いたように肩を震わせるミニョを、テギョンは、怪訝そうな顔で見ていた。

「おい、どうしたんだよ?」

「あ、あ、あの……」

ミニョは、困ったように、目をキョロキョロさせ、何度も唇を舐めている。
なかなか、言葉を発さないミニョに、不満そうに、口を尖らしながらも、ミニョの言葉を待つテギョン。

「……あ、あの、記事を、写真を…見てしまいました」

「見たのか…?」

「……ハイ」

ミニョは、コクンと小さく頷くと、テギョンとも顔を合わせられずに、俯いてしまう。
テギョンは、ため息を吐きながら、額に手を当てる。

「お前は、気にしなくていい!!あれは、事故だ。なんの意味もない!!それと、キスシーンがあったことが言えなかったのは……」

テギョンが、言葉を止め、ふと、ミニョを見ると、ミニョは、身体を震わせ、唇を噛み締め、泣くのを堪えていた。
テギョンは、首を小さく横に振り、ため息を吐きながら、ミニョの前に立つと、ミニョの身体を抱き寄せた。

「……悪かった。お前を傷つけるなら、言わない方が、良いと思っていた。でも、それは、間違いのようだったな…」

ハァ…と、ミニョの肩に、顔を埋めるテギョン。

「オレも嫌いだ。女と絡む仕事は…女たちがつけてる香水は、どれも臭いし、身体が触れるだけで、鳥肌が立つし、吐き気がするほど、気持ち悪い。仕事だからな、仕方なく、我慢してやってるだけだ…本当なら、やりたくない。オレが、身体に触られることが、嫌いなことは、お前も知ってるだろ?」

"勝手に、オレの身体に触れるな!!"

最初の頃、テギョンに叱られ、注意事項でも、挙げられていた。
ミニョが、グスッと、鼻を啜り、小さく、何度か頷く。

「しかも、最近、お前といると、尚更だ。オレが、オレに触れてもいいと思えるのは、お前だけだ。お前なら、何されても、大丈夫かもしれないな……ハァ……でも、お前ときたら、昨日、見知らぬオトコに抱きかかえられて、帰ってきたんだぞ…しかも、オレの許可なしに、ココを出ていくつもりだったんだろ?」

テギョンが、身体を離し、ムッとしながら、ミニョを見ると、ミニョが、きょとんとした顔をしている。

「あの…え…っと、まだ…出ていきませんけど…お兄ちゃんに、新しい住まいを探すお手伝いをお願いしてあります。あんまり、私が、ココに長居することは、事務所やファンの皆さんにとって、望ましく思ってないと思うんです。…そういう理由で、出ていくつもりでは、いるんですけど……」


"確かに…"頷くテギョン。"でも、なぜ、オレに、一言も相談がないんだ…?"そう思うと、気に入らなく、ムッと口を尖らす。
そして、もうひとつの疑問。

「あの、昨日のオトコは、誰だ?」

「ミヌのことですか?小学校のときの同級生です。」

"ミヌぅ?"呼び捨てするほどに、仲が良いのか…?
あの"ドンジュン"と同レベルか…?
面倒くさくなる前に、手を打たなければ…。

「おい、今後、一切、あの男と会うな!!」

ギロリと威嚇するテギョン。
なんで?と言う顔のミニョ。

「絶対、"会いたい"言われても、ひとりで会うなよ、わかったな?わかったら、返事しろ!!」

「……はい」

テギョンが、嫉妬していると、全く、夢にも思っていないミニョは、渋々、頷くしかなかった。



★★★★

すみません…最近、更新が出来なくて…m(__)m
元気なんですよ…(((^_^;)でも、なんか、ハナシが思うように書けなくて…。すみません…コメントの返事も遅くて…ちゃんと、読ませていただいてます。ありがとうございます。本当に。必ず、遅くとも、返事を書かせていただきますので……m(;∇;)m

さて、テギョンの注意事項というのが、コレです。

1.勝手に、オレの身体に触らないこと。(飛びかかってこられるのは、もっと、苦手)
2.勝手に、オレの部屋に入らないこと
3.勝手に、オレの私物に触らないこと。