「美男2」

「Believe」

*51*


「もしもし…?」

「テギョーン!!お前は、一体、何をしてくれたんだぁ!!」

電話の相手は、アン社長。頭に血が上っているらしく、第一声から、すごい剣幕だった。

「はい?」

もちろん、アン社長に怒られたようなことをした記憶はない、テギョン。
何を怒っているのか、さっぱり…だった。

「何を、とぼけてるんだ!!おかげで、事務所が、蜂の巣を突っついたように、大パニックだ!!電話もネット回線はパンクした!!事務所前は、ファンとマスコミだらけだ!!一体、どうしてくれるんだ!!とにかく、今すぐに、事務所に来い!!会って、話がしたい!!」

「はい?一体、何のことだよ、社長?」

話の意図が全く見えてこないテギョンが聞き返す。

「何を、しらばっくれてるんだ?撮られたんだよ、お前とチェ・ガインssiが、キスしているところを!!」

「はぁ…?それは、仕事だから、仕方ないことだろ?それは、社長も知ってるじゃないか…」

「だから、仕事の現場ではなく、場所は、スタジオの外だ。…それより、お前、もう、ミニョさんと別れたのか?」

………テギョンが、記憶を巻き戻す。

そう言えば、帰り際に、アイツに引き止められて、"好きだ"とか言われて…それから…まさか………

「社長、それは、誤解だ!!今から、事務所に行く!!ちなみに、ミニョとは、別れてないし、別れる気は、全くない!!」

テギョンは、ベッドから立ち上がると、出掛ける仕度を始める。

「出掛けるんですか?」

横で、テギョンの電話を耳にしていたミニョが、心配そうにテギョンを見ていた。

「あぁ…。ミニョ、話を聞いてほしい。大事な話なんだ…聞いてくれるか?」

テギョンは、着替えを済ませ、ベッドに座るミニョの前に立ち、ミニョの肩を掴んだ。

「はい、なんですか?」

テギョンの目が、真剣そのものだったので、ミニョも、真面目に聞こうと、口をキュッと結んだ。

「…たぶん、これから、お前も、オレの噂を耳にするかもしれない。でも、それは、根も葉もない噂で、嘘なんだ。お前は、それを、絶対に信じるな…。お前が信じていいのは、オレの言葉だけだ。オレを、信じてくれるな?」

「はい、信じます」

ミニョは、ゆっくりと頷いた。

「…サランヘ、ミニョ。オレが、愛してるのは、お前だけだ。じゃ、行ってくる」

テギョンが、ミニョの額に、触れるだけのキスをして、部屋から出ていく。

ミニョは、心配そうに、テギョンの後ろ姿を見送っていた。



★★★★