「美男2」

「上書き」

*50*


翌朝
ミニョが、目を覚ましたとき、自分が、キッチンではなく、ベッドの中にいることに気付く。そして、隣で、まだ、寝息を立て、ぐっすりと眠っているテギョンに、驚きの声をあげそうになり、慌てて、口元を手で押し殺した。

"あれ…?昨日の夜、私、キッチンで、テギョンさんの帰りを待ってたのよね……それで、そのうち、眠くなって、つい、ウトウトしちゃって……それで…なんで…私、ココにいるの?"

ふと、ミニョの頭に?マークが浮かび、ミニョが、首を傾げていると、布団の中で、もぞもぞと、何かが動き、グイッと、強い力で、ミニョの腰が引き寄せられた。
いきなり、抱き寄せられ、ミニョが驚きで、「きゃっ!!」と、小さな叫び声をあげてしまう。

その声で、テギョンが起きてしまったのか、

「ん……?ミニョ…?」

と、まだ、焦点が合っていない眠そうな目が、ミニョを、ジーッと見ていた。

「お、お、おはようございます……」

お互いの鼻が触れるほどに、顔の距離は近く、ミニョは、困ったように、目をキョロキョロと動かしている。

「ん……おはよう……。」

そう言って、顔を少しだけ動かして、ミニョの唇に、触れるだけの軽いキスをした。

"やっぱり、いいな…。"

ミニョの柔らかな唇に触れ、テギョンが、嬉しそうに、口角をあげる。
一瞬でも、昨日の撮影のキスを思い出すだけで、虫酸が走ってしまい、テギョンは、もう一度、ミニョの唇を塞いだ。
ミニョの唇の感触を確かめるように、角度を変えながら、ミニョの唇を啄むように、口づけていく。

「ふ……ん……」

息も出来ないようなキスに、塞がれた唇から、ミニョの吐息が漏れる。
その甘い吐息は、テギョンを、更に、煽ってしまっていた。

"お願いだ……もっと…オレに…消してくれ……"

まだ続く、テギョンの強引な口づけに、ミニョは、限界を感じていた。

"ん……もう…ダメ…苦しくて…溺れてしまいそう……"

ブーブー…ブーブー…

ベッドのサイドテーブルに置いてあった、テギョンの携帯のバイブの音に、テギョンが気付き、やっと、唇を離すテギョン。

ハァ…ハァ…

やっと、解放され、息苦しそうに、顔を赤くさせ、荒い息をしながら、テギョンから、そっぽを向いてしまうミニョに、"やり過ぎたか…"と、テギョンは、気にしながら、通話ボタンを押した。



★★★★