X'mas



*5*


「時間がない、行くぞ」

「えっ?今から、どこかに、行くんですか?」

テギョンは、口角をあげ、ニヤリと笑うと、キョトンとしたミニョの手をとり、車に乗り込んだ。

テギョンは、まだ、寒そうにしているミニョを見ると、ジャケットを脱ぎ、ミニョに掛けてやった。

「ありがとうございます」

ジャケットからフワッと香るテギョンの匂いに、ミニョが、嬉しそうに微笑む。

車は、予約したホテルへと着いた。
ホテルのロビーに入ると、ロビーの中央にも、大きなクリスマスツリーが飾られていた。
テギョンは、フロントに行き、ルームキーを受け取る。ふと、横を見ると、さっきまで、そばにいたミニョがいない。
こういう場所に来ると、決まって、ミニョは、テギョンの元から離れてしまう。公認の仲になっているとは言え、ミニョは、相変わらず、目立つことを嫌がり、騒がれるのがイヤなのか、テギョンから離れ、物陰に隠れてしまう。

「………ったく」

テギョンは、唇を尖らしながら、柱の陰に隠れてしまっているミニョを見つけると、ミニョの肩をガッチリと掴んで、エレベーターに乗り込んだ。

「なんで、隠れるんだよ?」

「……ごめんなさい。誰かに、一緒にいるところを見られてしまったら、騒がれて、オッパに迷惑をかけてしまいます……」

「そんなの、オレは気にしてない。そんなの気にしてたら、お前、オレと何処にも行けなくなるぞ?それでも、いいのか?」

テギョンの意地悪な質問に、困ったように、口をすぼめ、俯いてしまうミニョ。

「それがイヤなら、オレから離れるな、いいな?」

意地悪そうに、ニヤリと口角を上げ笑うテギョンが、ミニョの俯いている顔に手をかけると上を向かせると顔を近付ける。
テギョンの唇が、ミニョの唇に近付いていく。

"チン"

目的のフロアーに着いたエレベーターのドアが開いてしまう。
それでも、キスをしようとするテギョンに、ミニョは、ゆでダコのように、顔を真っ赤にしながら、テギョンの肩を叩いている。
仕方なく、テギョンは、チッと舌打ちをしながら、顔を離した。
毛足の長い高級そうな絨毯が敷かれた長い廊下を歩き、部屋の前にたどり着く。テギョンは、カードキーでドアを開け、ミニョを中に入れた。



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