X'mas


*1*


11月を過ぎれば、街角は、クリスマス一色。色彩豊かなイルミネーションで輝きだす。

韓国で不動の人気を誇るバンド『A.N.JELL』
このシーズンは、大人気の彼らにとっては、一番の書き入れ時を迎える。
そんな、彼らを乗せた移動車が、イルミネーションで飾られた街角を走っていた。
今は、テレビ局からテレビ局へと移動の最中だった。

移動車の中は、ファンやテレビ関係者など、周りの目を気にせずに過ごせる、唯一の自由時間だった。
腕を組んで、静かに目を閉じて、居眠りする者もいれば、パソコンで、ファンクラブサイトなのか、または、そのファンたちが作っている禁断の小説を、表情をコロコロ変えながら読んでいる者もいる。
携帯を片時も離さず、恋人にメールを送る者もいる。
そんな中、閉めきったカーテンを少し開け、物憂げな表情で、街並みを見つめている者がいた。

「クリスマスなんて……」

……大キライだった。
クリスマスは、自分が"ひとりぼっち"だと言うことを、浮き彫りにさせられる。
子どもの頃は、特に、大キライだった。
家族に囲まれ、温かなクリスマスを過ごすなんて、無縁のハナシだった。
母親はいないようなもので、指揮者の父親は、このシーズンは忙しく、世界中を飛び回っていたので、いつも、ひとりだった。そんな自分を哀れに思ったのか、クリスマスパーティーに誘う者たちもいたが、断っていた。賑やかに過ごすのも苦手だったし、特に、あの、温かな雰囲気に、馴染めなくて、余計に、ひとりぼっちだと言われている気がして、堪えられなかったのだ。
A.N.JELLとして活動を始めると、仕事が忙しくて、そんなのが、関係なくなっていた。

ポケットに入れていた携帯が震える。

携帯を取り出し、画面を確認すると、メールがあったことを知らせている。画面をタップし、メールをチェックする。

「今日は、たくさんの星を見つけました」

送付された写真は、クリスマスツリーだった。
オーナメント、リボン、たくさんの星が飾られている。
そのメールに、自然と、口元は、弧を描き、頬が弛められる。

"今年は……
きっと、クリスマスがスキになれる。
そんな、気がした。"



★☆★★

とりあえず、X'masイベントはじめます★
サブタイトルも、まだ、決まっていないのに……
(゜゜;)