「美男2」

「招かざる客」

*38*


「うわっ!!」
「きゃぁぁぁぁー!!!」

噂のカップルの、突然のキスに、周りも、どよめいた。
テギョンは、周りの反応に、ほくそ笑みながら、まだ、呆然としたままのミニョの腕を引っ張るようにして、階段を上がり、練習室の中へと入っていく。

そんなふたりの姿を、一部始終、胸の前で腕を組み、悔しそうに、唇を噛み締めながら、見ていた人物がいた。

「…有り得ない」

その人物は、ミニョだけをキツく睨み、踵を返すと、長い髪を揺らし、コツコツとハイヒールの音を鳴らし、去っていく。


練習室のソファーに、ミニョを座らせる。
呆然としたまま、何も言わず、頬に手を当て、目をパチパチ、キョロキョロさせているミニョ。

"……やり過ぎた…か?"

テギョンが、口を尖らし、クイクイと動かしながら、ミニョの様子を見ている。

「おい!!テギョーン!!いるんだろ?事務所内で、何、してくれてるんだぁ!!スゴい騒ぎになってるぞ!!!」

突然、練習室のドアが壊れそうなくらいに乱暴に開けられ、アン社長が、首に巻いたストールを振り乱しながら入ってくる。
相変わらず、騒がれていても、涼しい顔をして、水を飲んでいるテギョン。

「テギョン、ソファーに座っているのは誰だ?まさか、新しいガールフレンドか?」

アン社長は、ミニョだと気付かず、首を傾げている。

「はい?コ・ミニョですけど……」

テギョンが、呆れたような顔をしている。

「あぁぁ!!コ・ミニョssi!!I'm sorry!!気付きませんでしたよ!!アフリカから、帰ってきたんですね!!髪が伸びて、女性らしくなって……」

アン社長に、大声で呼ばれて、ミニョが、やっと、ハッとしたように気付き、目を瞬かせ、アン社長を見上げた。

「あ、あ、あ、アン社長、お、お久しぶりです。」

ミニョが、ペコリと頭を下げた。

「で、テギョン、なんで、コ・ミニョssiと一緒なんだ?」

「今日は、『オフ』で、コイツと出掛けてたんですけど…社長から、電話があったようなので、直接、事務所に来ました。で、用件は、なんですか?」

『オフ』だと言うことを、強調するテギョン。

「あぁ、そうだ、そうだ。悪い、悪い。明日のCM撮影で、共演する女優の"チェ・ガイン"ssiが、わざわざ、挨拶をしに、今、事務所に、いらっしゃっているんだよ。」

「そんなの、オレを呼ばなくても、社長だけでいいじゃないのか?」

「それがな、どうしても、お前に、直接、会って、挨拶したいと言われてな…お前が来るまで、待つって言われて…もし、断りでもしたら、明日の撮影に支障が出たら、お前だって、困るだろ?」

「はぁぁぁ………」

テギョンが、額に手を当て、ため息をついた。

「仕方ない。ミニョ、悪いな、すぐ、戻るから、ここで、待ってろよ。」

テギョンは、ミニョに告げ、アン社長とともに、練習室を出て行った。



★★★★

………嵐の予感。
((((;゜Д゜)))