「美男2」

「ホンモノ」

*38*


事務所に着くと、テギョンは、わざとらしく、誰かに見せつけるように、車から降りたミニョの肩に手を回すと、グイッと、ミニョの身体を引き寄せた。

"えっ…?ウソ…?どうしよう……?誰かに見られたら……"

ミニョは、テギョンの思ってもない行動に驚き、困ったように、目をキョロキョロさせながら、「…ダメです。誰かに見られてしまいます…」小声で、テギョンに訴えながら、身体を離そうと抵抗する。

「別に、オレは、誰かに見られようと構わない。」

テギョンは、離さないとばかりに、抱いた手に力を入れると、抵抗して動かないミニョの背中を押すようにして、裏口から事務所の中に入っていくと、事務所の中にいた人々が、案の定、テギョンたちに気付き、ざわつきはじめる。

騒がれるのが、慣れっこのテギョンは、ポーカーフェイスのままだった。

「ファン・テギョンの隣にいるのは、誰だ?」

「噂の恋人じゃない?」

「事務所に、恋人同伴で来たってこと?」

「まさか、これから、公に"恋人宣言"でもする気なのか?」

ざわつく声に反応してしまい、ミニョは、オロオロと困ったように、顔を俯かせたまま…。

「期待にお応えたした方がいいよな?ユ・ヘイのときみたいに、キスでもするか…それとも、シヌのときみたいに、「恋人です」って宣言するか…どっちがいい?」

テギョンは、状況を楽しんでいるらしく、ニヤリと笑いながら、ミニョの耳元で囁く。
「どっちもダメ!!」と、ブンブン激しく首を横に振るミニョ。

「じゃ、両方な」

テギョンが、ニヤリと笑うと、すでに、顔を真っ赤にさせいるミニョに、顔を近付け、鼻同士が触る。
端から見れば、キスをしているように見える。

「ちなみに、ユ・ヘイは、ここでストップ。嘘の恋人だったからな。キスも、もちろん、嘘。でも……」

テギョンが唇を近付け、ふたりの唇が、ピッタリと重なった。

「お前は、本当の恋人だからな」

突然、テギョンにキスをされ、目を丸くしながら、固まってしまっているミニョに、テギョンが、ニッコリと微笑んだ。



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