「美男2」

「パーティーナイト☆1」

*29*


キッチンの冷蔵庫を物色するミナム。
冷蔵庫にあるのは、テギョンの常備している水、ジェルミが毎朝飲んでいるジュース、ファンにもらったワインやシャンパン、ビール、マッコリなど、食べ物は、ミジャおばさんが、作り置きしてある、キムチ、ナムルなど…。

ミナム「うぅーん、飲み物は腐るほどあるのに、食い物が、全然ない。おい、ミニョー、なんか、作ってよ。」

ミニョ「えっ?」

ジェルミ「なんで、主役のミニョが作るんだよ、そんなの、おかしいじゃん!!」

ミナム「まぁ、確かにな…」

それでも、ミニョが、冷蔵庫の中を見ている。

ミニョ「うぅ…ん、チヂミなら、すぐ作れそうだけど…」

ジェルミ「本当?ミニョが、作ってくれるの?」

ミニョ「はい、いいですよ」

テギョンは、というと、3人の中にも入れず、かといって、ミニョと離れたくもなく、リビングで、何気なく、仕事をするフリをしながら、キッチンの様子を見ていた。

"事故多発地帯が作る料理って……大丈夫なのか?"
『ミニョが、危なっかしい包丁の持ち方をして、野菜を切っているが、」指を切り、「キャー」と叫ぶ。』
『コンロを使えば、油に引火して燃え上がり、また、ミニョが、「キャー!!どうしましょう!!」とオロオロしている。』

…テギョンが、ブルブルと首を横に振った。

「そんなのダメだ!!止めなけば!!さもないと、家が真っ黒こげになる!!」

手に持っていた楽譜と鉛筆を床に落とし、ソファーから、勢いよく立ち上がると、テギョンは、キッチンに向かうが、ミニョの叫び声は聞こえない。
聞こえるのは、リズミカルに野菜を刻む包丁の音だった。
ミニョの手際の良さに、テギョンは、驚きで、目を丸くしている。

「ミニョ、料理上手だったんだねぇ。驚いたよ!!」

ジェルミが、感心しながら、ミニョの手元を見つめている。

「そんなことないですよ。施設でも、ずっと、やってきたんで…」

ミニョが、ジェルミに褒められて、照れながらも、手は、休まず、動いている。小麦粉を水で溶き、刻んだ野菜を入れる。

「本当は、ごま油で焼くんですけど、オッ………テギョンさんのアレルギーがあるんで……」

そう言って、フライパンに、代わりの油を入れ、焼いていく。
テギョンは、ミニョが、自分のことを気にしてくれたことに、ニンマリするが、まだ、呼ぶのが、恥ずかしいのか、「オッパ」と呼ばれなくて、不満そうに口を尖らした。

両面をこんがり焼き上げ、チヂミが出来上がる。
人数分、焼き上げ、完成する。

リビングのテーブルに、料理を置いて、ジェルミが部屋からお菓子を持ってきて、ミナムは、アイスクリームを、飲み物を用意して、パーティーの準備が整った。

さりげなさを装いながら、テギョンは、ミニョの隣に座る。

「お祝いだし、この、高級そうなシャンパンでいいか?」

ミナムが、そう言って、全員のグラスに、シャンパンが注いだ。
テギョンは肘で、ミニョを突く。

「おい、飲み過ぎるなよ」

「わかってますよぉ…」

プクッと、頬を膨らますミニョ。

テギョンの脳裏には、未だに、思い出したくない、あの出来事が蘇り、ザワッと身の毛が弥立ち、慌てて、首を横に振った。

「それじゃ、ミニョ、おかえり。乾杯!!」



☆★★☆

長くなりそうなので、一度、区切ります。
事故多発地帯なミニョでも、鉄棒のぶら下がり以外にも、意外な特技が、必要だと思い、料理にしました。いつも不器用なミニョが、手際よく料理をやってれば、テギョンもイチコロでしょ(笑)