「美男2」

「今、帰ります」

*22*


翌朝

「長い間、お世話になりました。ありがとうございました。」

ミニョが、ボランティアスタッフひとりひとり、丁寧に、頭を下げ、挨拶をしていく。

「ジェンマ、本当にありがとう。元気で。また、遊びにおいでね」

「はい。ありがとうございました。シスター・サラも、お元気で…」

ミニョは、涙ぐみながら、お世話になったシスター・サラと抱き合う。
ミニョの周りには、子どもたちが集まっている。中には、寂しそうに涙を浮かべ、"行かないで"と言いたげに、ミニョの服を引っ張る子どももいる。
ミニョは、困ったように笑うと、子どもたちと視線を合わすように、しゃがむ。そして、子どもたち、ひとりひとりの頭を撫で、抱き締めていく。

「ミニョ、車が着いたわよ」

子どもたちとお別れを済ませ、ミニョが立ち上がる。
車のトランクに荷物を詰め込み、ミニョは、もう一度、「ありがとうございました」と感謝を述べ、頭を、深々と下げた。
顔を上げたミニョの目には、涙が、止めどなく溢れていた。
それでも、すぐに涙を拭い、ニッコリと笑うと、車に乗り込んだ。
走り出す車。その後を走って追う、子どもたち。
ミニョは、子どもたちの姿が見えなくなるまで、ずっと、手を振っていた。
行きと同じく、何時間も車に揺られ、空港に着く。
運転手にお礼を言い、ミニョは、空港の中に入っていった。
チェックインカウンターで手続きを済ませ、ミニョは、ベンチに座り、携帯の電源を入れた。
アドレスから番号を呼び出し、緊張しながら、通話ボタンを押す。
何度目かの呼び出し音のあと、ミニョの耳に聞こえたのは、留守電に接続するための機械の声だった。

「……コ・ミニョです。帰国が決まりました。今、空港で、これから、帰ります。」

それだけの用件を伝え、電話を切った。
もうひとり、同じように電話を掛け、ミニョは、電源を切った。


韓国
A.N.エンターテイメント
地下の作業室。
ただいま、アルバムの曲作りに真っ最中のファン・テギョン。
仕事に集中するため、作業中は、携帯の電源は入れずにいた。
一段落が着いたのか、テギョンが、顔を上げ、「ウーン」と両腕を伸ばして、椅子の背にもたれ掛かった。凝った首をコキコキ鳴らしながら、水を飲み、携帯を手に取った。
電源を入れ、不在通知の履歴を確認する。
テギョンは、履歴の名前を見た途端、携帯の画面をいじっていたその指が止まった。
留守電のマークがあり、すぐに、留守電を確認する。

「……コ・ミニョです。帰国が決まりました。今、空港で、これから帰ります」

……"帰る"って言ったよな?
しかも、今からって……
おい、ちょっと、待てよ…

テギョンは、すぐに、ミニョに電話を掛け直すが、すでに、電源が切れていた。
チッと舌打ちするテギョン。
はぁぁぁ…………
やっぱり、アイツは、事故多発地帯だ……。
一体、何時の飛行機で、何処の経由で、何時に着くのか、言わないと、迎えにも行けないじゃないか!!!
(*`Д´)ノ!!!



☆★☆★
期待してた皆さま、ごめんなさい。
m(*T▽T*)m
まだ会えない、ふたり(笑)
しかも、テギョンさん、どうするのかしら…。怒ってるし…。
さぁ、ちゃんと、ふたりが、涙の再会が出来るか…明日まで、お待ちくださいませ。