「美男2」
「オッパ」
*11*
はぁ…"
ひとり、部屋に取り残されたミニョは、小さく息を吐きながら、練習室を眺めていた。
懐かしい練習室。
もう二度と訪れることはないと思った場所に、また、来れることが出来た。
「でも、しばらくは、また、来れないのよね。色々、あったな…。」
一番最初に、ここで、讃美歌を歌い、ヒョンニムに認められた場所。
楽器や歌の練習で、よく怒られたな…。
ミニョが、懐かしい思い出に浸っていると、ワンコーディーが服を持って入ってきた。
「ミニョ、持ってきたわよ。これに着替えて。私は、部屋の外で、人が入らないように、見張っているから」
「ありがとうございます。」
ミニョは、礼を言いながら、ワンコーディーから服を受けとり、着替えを終えると、ドアを少し開けた。
「着替え終わりましたよ」
ファーのベスト、半袖の花柄プリントのワンピース、黒のタイツと、ビジューのついたパンプスを履いた、ミニョの姿に、ワンコーディーは、微笑んだ。
「あら、可愛いじゃない。似合ってるわよ。次は、メイクね」
ミニョが、ワンコーディーにメイクしてもらっていると、部屋のドアが開いた。
「入るぞ」
「いいわよ。もう、出来上がるから」
中に入ってきたのは、テギョンだった。
可愛くメイクをされたミニョの姿を見て、テギョンが驚いたのか、目を見開いたまま、しばし、言葉を失っていた。
ミニョの本来の姿は、何度も見ているはずなのに、テギョンの目には、いつも以上に、ミニョが、可愛く見えてしまっていた。
テギョンは、にやけてしまう口元を手で隠し、咳払いをひとつすると、本題を話しはじめる。
「アン社長が呼んでいる。行くぞ」
「えっ…どうしよう…」
困惑したように、瞳を揺らすミニョ。
「大丈夫だ。粗方、シヌが巧く話をしてくれた。お前は、"シヌの恋人"ではなく、今は、"オレの恋人"になっている。別に、何も話さなくていい。質問されても、『はい』か『いいえ』でいい。ただし、言葉には、気を付けろ。特に、オレとシヌを呼ぶときの『ヒョンニム』と『シヌヒョン』。社長に疑われるからな…」
「はい、わかりました。なんて、呼びましょう?『オッパ』でも…構いませんか…?」
ミニョが、恥ずかしそうに、頬を染めながら、おずおずと尋ねる。
ミニョに『オッパ』と呼ばれて、テギョンは、嬉しそうに、口角をあげた。
「まぁ、いいだろ。ファンもそう呼んでいるし、別に、構わない」
嬉しいのに、本音を隠してしまうテギョン。
「ありがとうございます。」
それでも、ミニョは、テギョンの本音などわからず、嬉しそうに、ニッコリ笑う。
「よし、行くぞ」
テギョンは、咳払いを、またひとつすると、ミニョの手を握り、ソファーから立たす。
手を握り締めたまま、部屋を出て、社長室へと向かった。
「なんか、いいわね。幸せそうで、羨ましいわ」
ワンコーディーは、ふたりの後ろ姿を、微笑みながら見送った。
☆★☆★
「オッパ」
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はぁ…"
ひとり、部屋に取り残されたミニョは、小さく息を吐きながら、練習室を眺めていた。
懐かしい練習室。
もう二度と訪れることはないと思った場所に、また、来れることが出来た。
「でも、しばらくは、また、来れないのよね。色々、あったな…。」
一番最初に、ここで、讃美歌を歌い、ヒョンニムに認められた場所。
楽器や歌の練習で、よく怒られたな…。
ミニョが、懐かしい思い出に浸っていると、ワンコーディーが服を持って入ってきた。
「ミニョ、持ってきたわよ。これに着替えて。私は、部屋の外で、人が入らないように、見張っているから」
「ありがとうございます。」
ミニョは、礼を言いながら、ワンコーディーから服を受けとり、着替えを終えると、ドアを少し開けた。
「着替え終わりましたよ」
ファーのベスト、半袖の花柄プリントのワンピース、黒のタイツと、ビジューのついたパンプスを履いた、ミニョの姿に、ワンコーディーは、微笑んだ。
「あら、可愛いじゃない。似合ってるわよ。次は、メイクね」
ミニョが、ワンコーディーにメイクしてもらっていると、部屋のドアが開いた。
「入るぞ」
「いいわよ。もう、出来上がるから」
中に入ってきたのは、テギョンだった。
可愛くメイクをされたミニョの姿を見て、テギョンが驚いたのか、目を見開いたまま、しばし、言葉を失っていた。
ミニョの本来の姿は、何度も見ているはずなのに、テギョンの目には、いつも以上に、ミニョが、可愛く見えてしまっていた。
テギョンは、にやけてしまう口元を手で隠し、咳払いをひとつすると、本題を話しはじめる。
「アン社長が呼んでいる。行くぞ」
「えっ…どうしよう…」
困惑したように、瞳を揺らすミニョ。
「大丈夫だ。粗方、シヌが巧く話をしてくれた。お前は、"シヌの恋人"ではなく、今は、"オレの恋人"になっている。別に、何も話さなくていい。質問されても、『はい』か『いいえ』でいい。ただし、言葉には、気を付けろ。特に、オレとシヌを呼ぶときの『ヒョンニム』と『シヌヒョン』。社長に疑われるからな…」
「はい、わかりました。なんて、呼びましょう?『オッパ』でも…構いませんか…?」
ミニョが、恥ずかしそうに、頬を染めながら、おずおずと尋ねる。
ミニョに『オッパ』と呼ばれて、テギョンは、嬉しそうに、口角をあげた。
「まぁ、いいだろ。ファンもそう呼んでいるし、別に、構わない」
嬉しいのに、本音を隠してしまうテギョン。
「ありがとうございます。」
それでも、ミニョは、テギョンの本音などわからず、嬉しそうに、ニッコリ笑う。
「よし、行くぞ」
テギョンは、咳払いを、またひとつすると、ミニョの手を握り、ソファーから立たす。
手を握り締めたまま、部屋を出て、社長室へと向かった。
「なんか、いいわね。幸せそうで、羨ましいわ」
ワンコーディーは、ふたりの後ろ姿を、微笑みながら見送った。
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