「美男2」
「そばにいて」
*4*
テギョンは、ミニョを部屋に入れ、後ろ手で、ドアを閉めた。バタンと、ドアの閉まる音が、やけに、静かな部屋の中に響いた。
テギョンは、ミニョの手を離し、部屋の奥に入っていく。
ミニョは、緊張しているのか、ドアの前から一歩も動かずにいた。
「なんで、そこで、突っ立ってるんだ?こっち、来い」
テギョンが、人差し指を曲げ、ミニョを呼ぶと、ミニョの手に、自分の部屋着を持たせた。
「服ないんだろ?貸してやる。これ持って、風呂、入ってこい」
テギョンが、バスルームの方向を指す。
ミニョが、黙って、何度か頷き、バスルームへと入っていく。
テギョンは、デスク前の回転イスに座った。目の前の黒いソファーには、"ブタウサギ"のぬいぐるみが鎮座していた。
つい先ほどまで、プレゼント部屋に押し込まれていた"星のネックレス"をかけた"ブタウサギ"。
テギョンが、ミニョと屋上に行く際、「よし、ブタウサギ、復活、おめでとう。部屋に戻ることを許可してやる。ただし、コレは、本物にやるから返してもらう。」と、プレゼント部屋から、また自室へとブタウサギを戻した。
「借りても…いいんだよね…?」
その頃、ミニョは、バスルームで、困っていた。
テギョンがいつも使っているシャンプーやソープを借りても良いものか…。
潔癖のテギョンは、自分のモノをヒトに使われるのをイヤがる。
それなのに、自分に、服から風呂まで貸してくれた。
…だから
「いいよね?…大丈夫よね?間違ったら、あとで謝ればいいよね…?ヒョンニム、お借りしますね」
ミニョが頭を下げ、頭と身体を洗い、シャワーで洗い流した。
タオルを借り、身体を拭いて、テギョンの服を着る。
「すみません、色々とお借りしました。」
ミニョが、テギョンの前に現れる。
ミニョには、オーバーサイズの自分の服。
恥ずかしいのか、すまなそうに思っているのか、下を向いたままのミニョの髪は、まだ、濡れて、滴を落としていた。
「ちゃんと、乾かせ。まだ、濡れてるぞ」
テギョンがミニョの持っていたタオルで、頭を優しく拭いた。
ミニョの髪から、フワッと香る、自分と同じシャンプーの匂い。
なんとなく、照れくさい気もしてきて、テギョンは、咳払いをすると、手を止めた。
「身体が冷えるから、先に、ベッドに入ってろ」
「そ、それは……ダ、ダメです。ヒ、ヒョンニムのお邪魔になってしまいます。お、お布団貸してください。あそこで寝ます。」
ミニョが、顔を真っ赤にさせ、首を横に振りながら、指を指した場所は、前に、ミニョがミナムとして寝ていた場所だった。
「残念だな。生憎、オレの部屋には布団がない。まぁ、オレのベッドは、キングサイズだし、ふたりは、余裕で寝れる。シャワー浴びてくる。それまでに、中に入ってろ、わかったな。」
テギョンは、バスルームへと入っていく。
ミニョは、ひとり取り残され、所在なさげに、ウロウロしていたが、意を決し、ベッドの端に腰かけ、そのまま、横になった。
"フーッ"
ミニョが、ドキドキする胸に手を押さえ、大きく何度も深呼吸をする。
"はぁぁ…"
テギョンは、大きくため息を吐きながら、頭からシャワーを浴びていた。
テギョンもテギョンなりに、緊張していた。
ミニョに、「部屋に来い」と声を掛けたときから…。
ミニョがミナムだった頃、何も気にせずに、当たり前のように出来た事が、元の姿に戻ったミニョを意識した途端、何もかもが、ガラリと変わったような気がした。
ミニョが自分の服を着ながら、少し恥ずかしそうにしている姿も、自分と、一緒に寝ることを、必死に断っている姿も、カワイイと思ってしまう自分がいた。
それなのに、一緒にいられるのは、今夜だけ…。明日には、また、離ればなれになってしまう…。
テギョンは、荒く身体を拭きながら、部屋着に着替え、バスルームを出た。
ベッドの方を見ると、ベッドの端で、何も掛けずに、丸まって寝ているミニョの姿があった。
「…ったく、本当に、風邪ひくぞ」
そんなことを言いながらも、テギョンは、柔らかい笑みで、ミニョの身体に上掛けを掛けた。
覆い被さるように、しばらく、ミニョの寝顔を見つめていたテギョンは、前髪をかき分け、そっと、額に唇を落とした。
「また、オレから離れるなんて…」
テギョンは、ベッドの中に入ると、ミニョを抱き寄せた。
「また、明日から、眠れなくなるんだ。今夜くらい、そばで、ゆっくり寝かしてくれ…。」
テギョンは、ミニョのぬくもりを感じながら、目を閉じた。
★☆☆★
「そばにいて」
*4*
テギョンは、ミニョを部屋に入れ、後ろ手で、ドアを閉めた。バタンと、ドアの閉まる音が、やけに、静かな部屋の中に響いた。
テギョンは、ミニョの手を離し、部屋の奥に入っていく。
ミニョは、緊張しているのか、ドアの前から一歩も動かずにいた。
「なんで、そこで、突っ立ってるんだ?こっち、来い」
テギョンが、人差し指を曲げ、ミニョを呼ぶと、ミニョの手に、自分の部屋着を持たせた。
「服ないんだろ?貸してやる。これ持って、風呂、入ってこい」
テギョンが、バスルームの方向を指す。
ミニョが、黙って、何度か頷き、バスルームへと入っていく。
テギョンは、デスク前の回転イスに座った。目の前の黒いソファーには、"ブタウサギ"のぬいぐるみが鎮座していた。
つい先ほどまで、プレゼント部屋に押し込まれていた"星のネックレス"をかけた"ブタウサギ"。
テギョンが、ミニョと屋上に行く際、「よし、ブタウサギ、復活、おめでとう。部屋に戻ることを許可してやる。ただし、コレは、本物にやるから返してもらう。」と、プレゼント部屋から、また自室へとブタウサギを戻した。
「借りても…いいんだよね…?」
その頃、ミニョは、バスルームで、困っていた。
テギョンがいつも使っているシャンプーやソープを借りても良いものか…。
潔癖のテギョンは、自分のモノをヒトに使われるのをイヤがる。
それなのに、自分に、服から風呂まで貸してくれた。
…だから
「いいよね?…大丈夫よね?間違ったら、あとで謝ればいいよね…?ヒョンニム、お借りしますね」
ミニョが頭を下げ、頭と身体を洗い、シャワーで洗い流した。
タオルを借り、身体を拭いて、テギョンの服を着る。
「すみません、色々とお借りしました。」
ミニョが、テギョンの前に現れる。
ミニョには、オーバーサイズの自分の服。
恥ずかしいのか、すまなそうに思っているのか、下を向いたままのミニョの髪は、まだ、濡れて、滴を落としていた。
「ちゃんと、乾かせ。まだ、濡れてるぞ」
テギョンがミニョの持っていたタオルで、頭を優しく拭いた。
ミニョの髪から、フワッと香る、自分と同じシャンプーの匂い。
なんとなく、照れくさい気もしてきて、テギョンは、咳払いをすると、手を止めた。
「身体が冷えるから、先に、ベッドに入ってろ」
「そ、それは……ダ、ダメです。ヒ、ヒョンニムのお邪魔になってしまいます。お、お布団貸してください。あそこで寝ます。」
ミニョが、顔を真っ赤にさせ、首を横に振りながら、指を指した場所は、前に、ミニョがミナムとして寝ていた場所だった。
「残念だな。生憎、オレの部屋には布団がない。まぁ、オレのベッドは、キングサイズだし、ふたりは、余裕で寝れる。シャワー浴びてくる。それまでに、中に入ってろ、わかったな。」
テギョンは、バスルームへと入っていく。
ミニョは、ひとり取り残され、所在なさげに、ウロウロしていたが、意を決し、ベッドの端に腰かけ、そのまま、横になった。
"フーッ"
ミニョが、ドキドキする胸に手を押さえ、大きく何度も深呼吸をする。
"はぁぁ…"
テギョンは、大きくため息を吐きながら、頭からシャワーを浴びていた。
テギョンもテギョンなりに、緊張していた。
ミニョに、「部屋に来い」と声を掛けたときから…。
ミニョがミナムだった頃、何も気にせずに、当たり前のように出来た事が、元の姿に戻ったミニョを意識した途端、何もかもが、ガラリと変わったような気がした。
ミニョが自分の服を着ながら、少し恥ずかしそうにしている姿も、自分と、一緒に寝ることを、必死に断っている姿も、カワイイと思ってしまう自分がいた。
それなのに、一緒にいられるのは、今夜だけ…。明日には、また、離ればなれになってしまう…。
テギョンは、荒く身体を拭きながら、部屋着に着替え、バスルームを出た。
ベッドの方を見ると、ベッドの端で、何も掛けずに、丸まって寝ているミニョの姿があった。
「…ったく、本当に、風邪ひくぞ」
そんなことを言いながらも、テギョンは、柔らかい笑みで、ミニョの身体に上掛けを掛けた。
覆い被さるように、しばらく、ミニョの寝顔を見つめていたテギョンは、前髪をかき分け、そっと、額に唇を落とした。
「また、オレから離れるなんて…」
テギョンは、ベッドの中に入ると、ミニョを抱き寄せた。
「また、明日から、眠れなくなるんだ。今夜くらい、そばで、ゆっくり寝かしてくれ…。」
テギョンは、ミニョのぬくもりを感じながら、目を閉じた。
★☆☆★