「fate」
*エピローグ*
父は、私と出会い、娘の存在を知ったあとも、ファン家には、私の存在を打ち明けることは、絶対にしなかった。
「お前には、悪いが、こうすることが、一番、良い方法なんだ。その方が、お前は、ずっと、自由のまま生きていける。」
父が、色々なことを先に見据え、そういう決断に至ったことが、わかった気がした。
私(隠し子)の存在を、今更、打ち明けたとしても、混乱が起きるだけだったし、世間の風当たりも強くなる。父が、それに堪えながら苦しむ、その姿を見たくなかった。
月日が流れ、カレとの結婚が決まった。結婚式にも出席してくれた。
一緒に、バージンロード歩いてくれた。ウェディングドレス姿の私を見て、「泣いてない」なんて言いながらも、目を真っ赤にして…。
幸せな暮らしが続くと思っていた矢先に、父の病気が発覚した。脳に、悪性の腫瘍が出来たのだ。
手術は、難しく、すべて、取り除くことは出来ないことと、手術で、脳を傷つけてしまった場合、最悪、記憶を失う場合があると言われ、父は、手術を拒否をした。
「一度、事故で、記憶を失ったことがある。そのとき、一番、大事なヒトのことを、すべて忘れてしまった。思い出したくても、思い出せない悔しさ、もう、記憶が戻らないかもしれない恐怖…そんな思い、もう二度と味わいたくない…」
父は、デスクの引き出しから、指輪を取り出した。
その指輪は、いつか、母に渡すために、買った指輪だという。でも、不運な事故により、父は、記憶を失い、母を忘れてしまった。
父が、記憶を取り戻した頃には、父の前から、母は、姿を消し、行方すら掴めなく、渡すことが出来なくなってしまい、母の手元に一度も渡ることなく、今も、父の元で、その指輪は、哀しい色のまま、輝いていた。
父の病状は、日を追うごとに悪化していった。
でも、父は、すでに、死を受け入れてしまったせいか、終始、穏やかな表情だった。
きっと、母の元に、早く、逝きたかったのかもしれない。
"ねぇ、お父さん、天国で、お母さんに会えた…?もう、これで、ずっと、一緒だね。"
★・’゜☆・’゜☆・’゜★
その場所は、痛みも苦しみもない。
春のような暖かい光が包み込んでいる場所だった。
すぐに、ミニョを見つけられた。
はにかむような顔で、オレを見ている。
その姿は、あの頃と変わらないまま。
きっと、この場所には、時間がない。幸せな時間のまま、止まってしまっているのだろう。
「ミニョ…会いたかった」
ミニョを、ギュッと力強く、抱き締める。
温かくて、柔らかい身体も、ミニョの匂いも感じる。
あまりにも懐かしく、そして、あまりにも幸せで、それだけで、目頭が熱くなるのを感じる。
「テギョン…さん……っ」
声も、変わらないな。
また、鼻をグスグスしながら、泣いている。
相変わらずだな…お前。
クスクスと笑いが込み上げてくる。
あぁ、お前と一緒にいれば、オレは、笑えるんだな…。
「ミニョ…もう、オレから離れるな……その前に、イヤだと言っても、オレが、離さないからな。もう、ずっと、一緒だ……」
泣きながら、何度も頷く、ミニョ。
これから、ずっと、一緒だ。ずっと、一緒にいられる。
そう思っただけで、泣けてきた。
「愛してる」
この言葉を、永遠に、お前だけに、捧ぐ。
★☆★☆
「fate」
これにて、完結とさせていただきます。
最後まで、お読みいただき、誠に、ありがとうございました。
後書きは、「つぶやき」で、長々と語らせていただきますので……。
*エピローグ*
父は、私と出会い、娘の存在を知ったあとも、ファン家には、私の存在を打ち明けることは、絶対にしなかった。
「お前には、悪いが、こうすることが、一番、良い方法なんだ。その方が、お前は、ずっと、自由のまま生きていける。」
父が、色々なことを先に見据え、そういう決断に至ったことが、わかった気がした。
私(隠し子)の存在を、今更、打ち明けたとしても、混乱が起きるだけだったし、世間の風当たりも強くなる。父が、それに堪えながら苦しむ、その姿を見たくなかった。
月日が流れ、カレとの結婚が決まった。結婚式にも出席してくれた。
一緒に、バージンロード歩いてくれた。ウェディングドレス姿の私を見て、「泣いてない」なんて言いながらも、目を真っ赤にして…。
幸せな暮らしが続くと思っていた矢先に、父の病気が発覚した。脳に、悪性の腫瘍が出来たのだ。
手術は、難しく、すべて、取り除くことは出来ないことと、手術で、脳を傷つけてしまった場合、最悪、記憶を失う場合があると言われ、父は、手術を拒否をした。
「一度、事故で、記憶を失ったことがある。そのとき、一番、大事なヒトのことを、すべて忘れてしまった。思い出したくても、思い出せない悔しさ、もう、記憶が戻らないかもしれない恐怖…そんな思い、もう二度と味わいたくない…」
父は、デスクの引き出しから、指輪を取り出した。
その指輪は、いつか、母に渡すために、買った指輪だという。でも、不運な事故により、父は、記憶を失い、母を忘れてしまった。
父が、記憶を取り戻した頃には、父の前から、母は、姿を消し、行方すら掴めなく、渡すことが出来なくなってしまい、母の手元に一度も渡ることなく、今も、父の元で、その指輪は、哀しい色のまま、輝いていた。
父の病状は、日を追うごとに悪化していった。
でも、父は、すでに、死を受け入れてしまったせいか、終始、穏やかな表情だった。
きっと、母の元に、早く、逝きたかったのかもしれない。
"ねぇ、お父さん、天国で、お母さんに会えた…?もう、これで、ずっと、一緒だね。"
★・’゜☆・’゜☆・’゜★
その場所は、痛みも苦しみもない。
春のような暖かい光が包み込んでいる場所だった。
すぐに、ミニョを見つけられた。
はにかむような顔で、オレを見ている。
その姿は、あの頃と変わらないまま。
きっと、この場所には、時間がない。幸せな時間のまま、止まってしまっているのだろう。
「ミニョ…会いたかった」
ミニョを、ギュッと力強く、抱き締める。
温かくて、柔らかい身体も、ミニョの匂いも感じる。
あまりにも懐かしく、そして、あまりにも幸せで、それだけで、目頭が熱くなるのを感じる。
「テギョン…さん……っ」
声も、変わらないな。
また、鼻をグスグスしながら、泣いている。
相変わらずだな…お前。
クスクスと笑いが込み上げてくる。
あぁ、お前と一緒にいれば、オレは、笑えるんだな…。
「ミニョ…もう、オレから離れるな……その前に、イヤだと言っても、オレが、離さないからな。もう、ずっと、一緒だ……」
泣きながら、何度も頷く、ミニョ。
これから、ずっと、一緒だ。ずっと、一緒にいられる。
そう思っただけで、泣けてきた。
「愛してる」
この言葉を、永遠に、お前だけに、捧ぐ。
★☆★☆
「fate」
これにて、完結とさせていただきます。
最後まで、お読みいただき、誠に、ありがとうございました。
後書きは、「つぶやき」で、長々と語らせていただきますので……。