「fate」

*42*

「Life is…」


娘との新しい生活。
それは、育児に追われ、時間が過ぎていくのが、早く感じるほどだった。
すべてが、初めてで、慣れないことばかり…。
育児について、相談する相手もいなかったから、育児書とにらめっこしながら、見よう見まねで、色々と、試しながら、やってみる。

"うわぁぁぁーん"

すぐに、グズって泣き出す娘。
オロオロしながらも、娘を、慌てて抱き上げ、「ごめんね」と謝りながら、泣き止むように、あやす。

参考書どおりに、思うように進まない。
それでも、少しずつ、娘と自分に合ったやり方を見つけ、慣れていった。

日々、成長していく娘。
それは、どんなに些細な出来事でも、私は、母親としての、大きな喜びを感じていた。

ふと、心配になるのは、これからの生活だった…。
今は、収入がなく、国の補助が少しと、貯金を崩しながら、生活をしていた。
きっと、このままでは、生活が、苦しくなってしまう。

そう思って、娘を、託児所に預け、仕事を探す。

見つけた仕事先は、飲食店の仕事だった。

小さなお店だったけど、お店を営んでいる奥さんが、いいヒトだった。

「ミニョちゃん、アンタ、まだ、若いんだから、もっと、カワイイ格好しなさい。」

そんなことを、奥さんに、よく言われるけど、もう、恋人をつくる気も、結婚する気もなかった。

「娘がいるから…」そんな理由を口にしてたけど、本当は、もう、他のヒトを、スキになれなかった。

愛しているのは、この世で、ただ、ひとりだけだから…。
どれだけの年月が経とうとも、忘れることが出来ない。

あのヒトは、今も、幸せに、あの女性と、暮らしているだろうか…

ふと、思い出しては、感傷に浸ってしまう。

「ママぁ」

娘に呼ばれ、また、現実に戻される。

「なぁに?」

娘に、微笑みながら、目線を合わせる。

「はい、あげる」

シロツメクサの花冠を頭に乗せられる。

「ありがとう」

娘は、小学生になっていた。

無我夢中で、生きていた。
すべては、娘のために…。
だから、自分のことは、すべて、後回し…。

だから、気づかなかった。
自分の身体の変化など…



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