「fate」

*37*

「last song」


今夜も、外は、秋の冷たい雨が、降っていた。
雨が降るたびに、寒さが増してきている。

最近、胎動がわかるようになってきた。
改めて、自分のお腹に、新たな命があることを感じた。
お腹も、だいぶ、ふっくらしてきて、最近、ドレスがキツくなってきた。

妊娠していることを、周りに、打ち明けることは、しなかった。

でも、「太った」…という理由は、そろそろ、限界で、「体調不良」という理由で、今夜、ココを、辞めることにした。

誰にも、迷惑をかけるわけには、いかなかったから…。

このバーには、色々な思い出がある、大切な場所になった。

あのヒトに出逢った、あの日も、確か、雨だったな……。
それまでの何もかも全て を変えていってしまう様な、そんな、出逢いだった。
目が合った瞬間、私は、恋に落ちた。
真っ直ぐ射るような、鋭い眼差しの中に見えた、悲しみの色が、今でも、忘れられない……。

歌い終わったあと、腕を掴まれた。
「話がしたい」
そう言われて、少し強引だと思ったけど、貴方に、惹かれてしまった私の内心は、嬉しかった。それから、初めて、話をした。

「また、来る」
連絡手段がない、私は、毎日、アナタを待ち続けた。
逢うたびに、強く惹かれ、後戻りさえ、出来なくなるほど、貴方のことを、深く愛していった。

初めて、ココロもカラダも、ひとつになれた、あの満月の夜。

ピアノを弾きながら、貴方だけのために、歌った、あの唄。

どんなに愛しても、叶うことがない愛があることなど気付きもしないほど、貴方だけを見つめ、貴方だけを愛していた。

……すべてが、幸せだった。

貴方との思い出は、美しいままに……。
ココに、置いていきます。
過ぎ去った、甘い記憶は、私の心の中に……。


♪…何億光年 輝く星にも 寿命があると
教えてくれたのは あなたでした
季節ごとに咲く 一輪の花に 無限の命
知らせてくれたのも あなたでした
last song for you, last song for you
約束なしの お別れです
last song for you, last song for you
今度はいつとは言えません
あなたの燃える手 あなたの口づけ
あなたのぬくもり あなたのすべて
きっと私忘れません うしろ姿見ないでください

Thank you for your kindness
Thank you for your tenderness
Thank you for your smile
Thank you for your love
Thank you for your everything

さよならの かわりに

……♪



★★☆★

song by「さよならの向こう側」

ちょうど、ミニョの気持ちとリンクした歌詞になっていたので、最後の歌は、この曲にしました。