「fate」
*27*
「I Dreamed a Dream」
…夢は
いつかは、醒めてしまう。
きっと、私は、今まで、甘美な夢を見ていただけ…。
それは、短い夢だったけど、人生の中で、一番、幸せで、満たされていた。
夢から醒め、私に、残ったのは、お腹の中の小さな命だけ、だった。
産むべきか、どうかすら、私は、まだ、迷っていた。
悪阻(つわり)は、思った以上に、辛く、ベッドから起き上がることさえも、出来なくなるほどだった。
それでも、時間になると、這い上がるように、起き上がり、仕事に向かった。
私には、歌しか、なかったから…。
歌には、いろんな感情が、溢れている。
"愛"や"希望"から"怒り"や"絶望"まで…。
ラブソングを歌うと、いつも、あのヒトの顔を思い出す。
瞳を閉じれば、すぐに、そばにいるような…
目を開ければ、いつもの場所で、口角を少しだけあげた、あの笑みで、聴いてくれているかも…と。
あのヒトから、身を引くと決めたのに、まだ、心のどこかでは、あのヒトを探し続けていた。
…でも、あのヒトが、このバーに訪れることは、もう、二度と、なかった。
まだ、産む決心さえもつかないまま、病院に向かった。
病院の待合室で、何気なしに、テレビを観ていた。
お昼のニュースで、誰かの記者会見が開かれていた。
…たぶん、モデルさんだろう。
テレビ画面からでもわかる、長身で、キレイなロングヘアー、柔らかな微笑み。
「ご結婚、おめでとうございます。キム・ヒジュさん」
「ありがとうございます。まだ、正式に婚約しただけですが…」
「ビックリしました。突然の結婚宣言!!お相手の方が、あのファン家の御曹司で若き社長のファン・テギョンさんだと伺いましたが…」
"ファン・テギョン"
聞き慣れた名前…思わず、耳を疑ってしまう。
「はい、そうです。テギョンさんは、有名な方ですが、元から、表舞台に立つのが苦手なので…残念ながら、この場には、いませんが…」
………テギョンさんが
……結婚?
……この女性と?
幸せそうに笑っている彼女を、これ以上、見ていられなくて、席を立った。
フラフラと、宛てもなく歩いて、人がいない場所までたどり着くと、柱の陰で、小さく踞り、顔を膝に埋め、声を殺して、泣いた。
……まだ、忘れられなかった。
瞳を閉じれば、残像が浮かび上がる。
私を呼ぶ、低音の声
優しい微笑み
時折、見せた、あの、悲しい色をした瞳
身体に、熱いくらいに感じた唇、繊細な指
触れ合った、温かなぬくもりを……
どんなに愛しても、叶うことない愛だと、わかっていても…
まだ…
あのヒトを…
テギョンさんを…
……愛していた
声も抑えることも忘れ、泣いていると、突然、下腹部に痛みを感じる。
…きっと、お腹の子が、苦しがって、嫌がっているんだ。
…こんな、お母さんじゃ、イヤだよね。
…ごめんね
…強くなれなくて
…ごめんね
…アナタを守れなくて
下腹部の痛みは、激しく、その場で、気を失ってしまった。
☆★★☆
あぅ…ごめんなさい。
・゜・(つД`)・゜・
ミニョ、災難の嵐…。
*27*
「I Dreamed a Dream」
…夢は
いつかは、醒めてしまう。
きっと、私は、今まで、甘美な夢を見ていただけ…。
それは、短い夢だったけど、人生の中で、一番、幸せで、満たされていた。
夢から醒め、私に、残ったのは、お腹の中の小さな命だけ、だった。
産むべきか、どうかすら、私は、まだ、迷っていた。
悪阻(つわり)は、思った以上に、辛く、ベッドから起き上がることさえも、出来なくなるほどだった。
それでも、時間になると、這い上がるように、起き上がり、仕事に向かった。
私には、歌しか、なかったから…。
歌には、いろんな感情が、溢れている。
"愛"や"希望"から"怒り"や"絶望"まで…。
ラブソングを歌うと、いつも、あのヒトの顔を思い出す。
瞳を閉じれば、すぐに、そばにいるような…
目を開ければ、いつもの場所で、口角を少しだけあげた、あの笑みで、聴いてくれているかも…と。
あのヒトから、身を引くと決めたのに、まだ、心のどこかでは、あのヒトを探し続けていた。
…でも、あのヒトが、このバーに訪れることは、もう、二度と、なかった。
まだ、産む決心さえもつかないまま、病院に向かった。
病院の待合室で、何気なしに、テレビを観ていた。
お昼のニュースで、誰かの記者会見が開かれていた。
…たぶん、モデルさんだろう。
テレビ画面からでもわかる、長身で、キレイなロングヘアー、柔らかな微笑み。
「ご結婚、おめでとうございます。キム・ヒジュさん」
「ありがとうございます。まだ、正式に婚約しただけですが…」
「ビックリしました。突然の結婚宣言!!お相手の方が、あのファン家の御曹司で若き社長のファン・テギョンさんだと伺いましたが…」
"ファン・テギョン"
聞き慣れた名前…思わず、耳を疑ってしまう。
「はい、そうです。テギョンさんは、有名な方ですが、元から、表舞台に立つのが苦手なので…残念ながら、この場には、いませんが…」
………テギョンさんが
……結婚?
……この女性と?
幸せそうに笑っている彼女を、これ以上、見ていられなくて、席を立った。
フラフラと、宛てもなく歩いて、人がいない場所までたどり着くと、柱の陰で、小さく踞り、顔を膝に埋め、声を殺して、泣いた。
……まだ、忘れられなかった。
瞳を閉じれば、残像が浮かび上がる。
私を呼ぶ、低音の声
優しい微笑み
時折、見せた、あの、悲しい色をした瞳
身体に、熱いくらいに感じた唇、繊細な指
触れ合った、温かなぬくもりを……
どんなに愛しても、叶うことない愛だと、わかっていても…
まだ…
あのヒトを…
テギョンさんを…
……愛していた
声も抑えることも忘れ、泣いていると、突然、下腹部に痛みを感じる。
…きっと、お腹の子が、苦しがって、嫌がっているんだ。
…こんな、お母さんじゃ、イヤだよね。
…ごめんね
…強くなれなくて
…ごめんね
…アナタを守れなくて
下腹部の痛みは、激しく、その場で、気を失ってしまった。
☆★★☆
あぅ…ごめんなさい。
・゜・(つД`)・゜・
ミニョ、災難の嵐…。